中学受験を志す家庭にとって、家庭教師をいつから始めるかは大きな悩みどころでしょう。
個別指導の家庭教師は、集団塾とは異なり、各家庭の状況やニーズに合わせて柔軟にスタートできるのが利点です。
この記事では、私が家庭教師のトライの教育プランナーとしての経験を元に、実際にあった複数の事例を交えながら、中学受験の家庭教師を始めるのに最適なタイミングとその目的についてくわしく解説します。
小3から家庭教師を始めるケース

小学3年生は、中学受験に向けた学習の基盤を築く上で重要な時期です。
この時期から家庭教師を利用する家庭には、大きく分けて2つの目的があります。
①将来の受験を見据えた基盤づくり
事例:将来を見据え、学習習慣の土台を築く
ある家庭では、具体的な志望校はまだ決まっていないものの、「将来的に中学受験をさせたい」という強い希望がありました。
そこで、本格的な受験勉強が始まる前に、家庭教師の力を借りて学習の基盤を固めることを決意しました。
この時期から家庭教師を導入することで、子どもは無理なく、そして楽しみながら、**「机に向かう習慣」や「自ら課題に取り組む姿勢」**を身につけることができたのです。
早期に良い学習習慣を確立することは、学年が上がって学習内容が難しくなった際に、大きな強みとなります。
ポイント
小3から家庭教師を始める最大のメリットは、受験を意識した勉強習慣を焦らずに定着させられることです。
早い段階から学習リズムを整えることで、子どもが勉強に対して抱く心理的なハードルを下げ、スムーズに受験準備へ移行することができます。
②塾か家庭教師かを見極める準備段階
事例:個別指導の適性を見極める
別の家庭では、小3の時点で学研やオンライン学習を続けていました。
しかし、周りが小5から進学塾に通い始めることを知り、「うちの子は進学塾と家庭教師のどちらが合っているのだろう?」と悩んでいました。
また、内部進学か外部進学かで迷っていたことも、早期に家庭教師を試すきっかけとなりました。
この段階で家庭教師を利用することで、**子どもが「個別型の学習スタイルに合うかどうか」**を実際に体験することができ、今後の進路選択において貴重な判断材料を得ることができました。
ポイント
この時期に家庭教師を試すことは、「個別指導が合うか」を事前に確認する絶好の機会となります。
子どもの性格や学習スタイルに合った指導法を見つけることで、後の学習効率を飛躍的に向上させることができます。
小4から家庭教師を始めるケース

小学4年生になると、中学受験を視野に入れた具体的な行動が始まります。
この時期から家庭教師を始める家庭は、**「集団塾の補強」や「家庭教師メインでの学習」**といった、より実践的な目的を持つことが多くなります。
①塾との併用で苦手科目を補強
事例:大手塾の苦手科目をピンポイントで克服
ある家庭では、小4から大手集団塾に通い始め、志望校も明確になっていました。
しかし、特定の科目に苦手意識を持ち始め、テストの点数が伸び悩んでいました。
そこで、焦りを感じた保護者が家庭教師に依頼。
家庭教師は、塾のカリキュラムと連動させながら、苦手な単元や科目をピンポイントで指導。
これにより、塾の授業内容がより深く理解できるようになり、全体の学習効果が向上しました。
ポイント
塾に通い始めたものの、ついていけない部分が出てきた場合に家庭教師を併用することは非常に効果的です。
家庭教師の個別指導が、集団塾の学習内容を補強し、子どもの学力向上を強力にサポートします。
②塾についていけず家庭教師へシフト
事例:集団塾からの転換、安心して学習を続ける
一度集団塾に通ってみたものの、授業のペースについていけず、成績が上がらないというケースもあります。
このような場合、子どもは自信をなくし、学習意欲を失いがちです。
ある家庭では、集団塾を辞め、家庭教師に切り替えました。
家庭教師は、学校の勉強のフォローを丁寧に行いながら、少しずつ中学受験の準備を進めました。
これにより、子どもは安心して自分のペースで学習を続けることができ、再び勉強への前向きな気持ちを取り戻すことができました。
ポイント
集団塾が合わないお子さんにとって、家庭教師は学習を安心して続けられる重要な選択肢となります。個人のペースに合わせた指導は、子どもの自己肯定感を高め、学習意欲を維持する上で不可欠です。
③家庭教師のみで受験準備を進める
事例:難関校を目指さない場合の選択肢
大手塾に通う必要がない、近所の私立中学を志望している場合、家庭教師のみで受験準備を進めるという選択肢もあります。
ある家庭では、偏差値45〜50程度を目標に、家庭教師が基礎学力のサポートを行いました。
これにより、過度な負担をかけずに、志望校のレベルに合わせた効率的な学習が可能になりました。
ポイント
難関校を目指す場合でなければ、家庭教師だけでも十分に受験対策は可能です。志望校のレベルに合わせて、家庭教師と二人三脚で基礎学力を固めることが合格への近道となります。
小5から家庭教師を始めるケース

小学5年生は、中学受験の本格的なスタート地点と言えます。
学習内容が一気に難しくなり、志望校もより具体的に定まってくる時期です。
この時期に家庭教師を利用する家庭には、より専門的なニーズが見られます。
①塾と併用し、専門的なフォローを求める
事例:浜学園と併用し、国語の学習法を身につけたい
ある生徒は、難関中学を目指し浜学園に通っていましたが、算数や理科は得意なものの、国語の記述や解き方に課題を抱えていました。
家庭教師は、国語の「読み方」「答え方」のプロセスを丁寧に指導し、記述添削を繰り返すことで、答案作成力を徹底的に磨きました。
事例:浜学園のフォローを家庭教師で補う
浜学園に通いながらも、特に国語の授業をWeb復習でカバーすることが難しく、偏差値が下がってきた生徒がいました。家庭教師は、授業の振り返りや弱点補強を対面で直接対応。特に読解や記述問題について、家庭で丁寧にサポートすることで、成績のV字回復に繋げました。
事例:塾の宿題対応を家庭教師に任せる
大手塾に通っていると、宿題量が膨大になり、家庭だけでは消化しきれないことが多々あります。ある家庭では、家庭教師に宿題の優先順位を整理してもらい、効率よく取り組めるように指導してもらいました。これにより、子どもの負担が減るだけでなく、保護者の精神的な負担も大きく軽減されました。
②塾よりも家庭教師が合っていると判断
事例:日能研をやめたが、中学受験を続けたい
日能研のペースについていけず退塾した生徒が、「同志社女子中に行きたい」という強い希望を持っていました。
家庭教師は、本人のモチベーションを最優先に、志望校合格に向けた現実的なカリキュラムを個別に作成。
失われた学習リズムを取り戻し、自信を持って受験に臨めるようサポートしました。
事例:心因性視覚障害があるため、塾より家庭教師を選ぶ
精神的な要因で視覚に影響が出る症状があり、集団塾の環境が合わない生徒がいました。
家庭教師は、安心できる家庭学習環境を整え、無理のないペースで学習を継続。
志望校合格を目指しつつ、本人の心身の健康を最優先に考えた指導を行いました。
小6から家庭教師を始めるケース

小学6年生から家庭教師を始める場合、短期での成果を出すことが求められます。
特にプロの家庭教師に依頼する場合、1回あたりの授業料も安くないため、効率的に結果に結びつける必要があります。
短期集中で苦手分野を克服する
事例:塾のフォローと弱点克服を短期で集中的に
ある生徒は、小学6年生の夏期講習から家庭教師を始めました。
大手塾の授業内容が複雑になり、特に算数の文章題や理科の計算問題でつまづきが目立つようになりました。
週に1回のペースで家庭教師を依頼しましたが、夏休み明けの模試で思うように成績が伸びず、保護者から「週2回に増やせないか」と相談がありました。
プロ教師で短期で結果を出さないといけないので、週1回では追いつかないということもあります。
この事例からもわかるように、小学6年生から家庭教師を始める場合は、短期で結果を出すことを強く意識しなければなりません。
塾と併用する場合でも、苦手科目の克服にはある程度の時間が必要です。
本番までの残り時間を考えると、余裕をもって家庭教師を始める方が、より効果的に弱点を補強し、安心して受験に臨めると言えるでしょう。
ポイント
小学6年生は、入試本番までのカウントダウンが始まっています。
家庭教師は、塾のカリキュラムと連動させながら、生徒一人ひとりの弱点を迅速かつ的確に補強する役割を担います。
週に複数回の指導や、長期休暇中の集中指導など、短期で成果を出すための柔軟なプランニングが重要となります。
事例から分かる「家庭教師を始めるベストタイミング」

これまでの事例を総合すると、家庭教師を始めるベストなタイミングは、子どもの状況や家庭の目的に応じて異なります。
小3は「基盤づくり・方向性の見極め期」
この時期は、本格的な受験勉強の前に、**「学習習慣を整える」ことや、「塾との相性を見極める」**ことに適しています。
早期に良い学習習慣を身につけることで、学年が上がってもスムーズに勉強に取り組めるようになります。
小4は「塾との併用・個別対応が効果的」
小4になると、志望校が具体化し、苦手科目もはっきり見えてきます。
この時期から家庭教師を利用することで、塾の学習効果を最大限に高めたり、集団塾のペースについていけなくなった場合の救済策として機能させることができます。
小5は「本格的な個別最適化のスタート期」
小5は、中学受験の本格的なヤマ場です。
この時期は、志望校の過去問対策や、特定の科目・分野の弱点補強など、より専門的な目的で家庭教師を利用する家庭が増えます。
塾の宿題対応や、メンタル面でのサポートなど、子どもの状況に合わせたきめ細やかなサポートが不可欠になります。
小6は「短期集中で合格を目指す追い込み期」
小6は、入試本番までのカウントダウンが始まる最終準備期間です。
この時期は、志望校の傾向に合わせた最後の仕上げや、苦手分野の総復習など、より実践的な対策が求められます。
特に、メンタル面のサポートや、限られた時間の中で最大限の結果を出すための学習管理など、きめ細かな個別対応が合否を分ける重要な要素となります。
中学受験のおすすめの家庭教師5選をくわしく解説した記事はこちらです。
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まとめ
家庭教師を始めるタイミングに「絶対的な正解」はありません。しかし、それぞれの学年に応じた最適な利用法があることは確かです。
- 小3: 学習習慣の定着や、塾との相性確認など、土台作りのために。
- 小4: 塾のフォローや苦手科目克服など、集団学習の補強として。
- 小5: 志望校対策や、本人の課題に合わせた専門的なサポートとして。
- 小6: 志望校に合わせた最後の仕上げや、苦手分野の総復習など、短期集中で合格を勝ち取るために。
これらの事例を参考に、ぜひお子さんに合った最適なタイミングを見つけて、後悔のない中学受験準備を進めてください。
お子様の個性や状況に合わせた最適なプランを立てることが、合格への一番の近道となるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。