「日能研の授業についていけていないようだ」
「栄冠への道が最後まで終わらず、毎週やり残しがたまる」
「このまま続けて大丈夫なのか、転塾すべきなのか分からない」と悩んでいませんか。
結論からいうと、日能研についていけないと感じても、すぐに学力不足や転塾を考える必要はありません。まず確認したいのは、「今のクラスと理解度に合った範囲を学習できているか」です。
日能研では、所属クラスや理解度に応じて家庭で取り組む問題を調整する考え方があります。すべての問題を同じ優先度で進めると、復習やテスト直しまで手が回らなくなることがあります。
つまり、全部やろうとすれば終わらなくて当然です。必要なのは頑張ることではなく、今のクラスに必要な範囲を知ることです。
私は塾講師と家庭教師のトライの教育プランナーとして、600人以上のお子さんの学習相談を担当してきました。立て直せたご家庭は、量を増やすのではなく、やる範囲を先に決めていました。
この記事では、教材(主に『栄冠への道』を使う4〜6年生を中心)と育成テストの対応関係、ついていけない原因の切り分け方、続けるかどうかの判断基準まで解説します。
この記事の要点
- 育成テストで解く問題はクラスによって変わる
- まず「学び直し①」を確実にし、その先はクラスや理解度に合わせる
- 「ついていけない」は4つに切り分けると対策が決まる
まず知りたい|日能研の教材と育成テストの対応関係

対策を考える前に、この対応関係を知っておくと、家庭でやることが一気に決まります。
育成テストはクラスによって問題が違う
学習力育成テストは、全クラス共通の「共通問題」と、クラスによって分かれる「基礎問題」または「応用問題」で構成されます。
国語・算数は、基礎クラスが共通+基礎、上位クラスが共通+応用を受験します。そして応用問題には、授業で習わない入試問題に近い実力問題や記述式問題も出されます。
つまり、基礎クラスに在籍している場合、応用問題レベルの対策は今すぐ必要ではありません。
栄冠への道のどこをやればよいか
日能研の案内では、栄冠への道の使い方が次のように説明されています。
| 栄冠への道 | 対応する育成テストの問題 |
|---|---|
| 思い起こし | 授業内容の振り返り。当日に済ませる |
| 学び直し① | 共通問題・基礎問題 |
| 学び直し②・③ | 応用問題 |
まず優先したいのは「学び直し①」です。学び直し①では、授業で学んだ知識や技術を使える状態になっているかを確認します。
学び直し②・③には研究課題や応用的な内容も含まれるため、どこまで取り組むかは所属クラス・理解度・先生からの指示によって変わります。
時間が足りない場合は、家庭だけで②・③を削ると決めず、校舎の先生に「今のクラスではどこまで優先すべきですか」と確認してください。
育成テストで点が取れない場合は、問題の難度だけでなく、共通・基礎・応用のどこで失点しているかを確認することが大切です。
日能研についていけない6つの原因と見分け方

同じ「日能研についていけない」という状態でも、詰まっている場所によって必要な対策は違います。
まずは、次の表でお子さんがどこに当てはまるか確認してください。原因を特定せずに勉強量だけ増やすと、かえって家庭学習が回らなくなることがあります。
| 原因 | 見分け方 | まずやること |
|---|---|---|
| ①やる範囲が広すぎる | 内容は分かるが、栄冠への道が終わらない | 学び直し①を優先し、その先の範囲を先生に確認する |
| ②授業内容が定着していない | 翌日に授業で扱った基本問題でも手が止まる | 本科教室で扱った問題に戻る |
| ③解き直しが後回し | 宿題は進むが、同じ問題を繰り返し間違える | 新しい問題を減らし、間違い直しを優先する |
| ④前の単元につまずきがある | 特定の単元だけ毎回失点する | つまずいた単元まで戻る |
| ⑤質問をため込んでいる | 分からない問題に印がついたまま残る | 質問する問題を整理する |
| ⑥家庭学習の環境が回っていない | 就寝が遅い、親子げんかが増えている | 学習時間と保護者の役割を見直す |
まずは「翌日に1問」で理解か量かを見分ける
特に見分けにくいのが、「授業は理解できているけれど量が多すぎる」のか、「そもそも授業内容が定着していない」のかという違いです。
授業の翌日に、本科教室で扱った基本問題を1問だけ、何も見ずに解いてみてください。
- 自力で解ける:少なくともその問題は理解できています。家庭学習の量や優先順位を見直します。
- 手が止まる:授業内容がまだ定着していない可能性があります。新しい演習を増やす前に、授業で扱った問題へ戻ります。
1問だけで理解度のすべてを判断することはできませんが、「量の問題」なのか「理解の問題」なのかを見分ける手がかりになります。
原因① 今のクラス・理解度より広い範囲まで進めている
内容は理解できているのに、毎週「栄冠への道」が終わらない場合は、取り組む範囲が広すぎる可能性があります。
まず優先したいのは、授業内容の基本を確認する学び直し①です。学び直し②・③には研究課題や応用的な内容も含まれるため、どこまで取り組むかは所属クラスや理解度、先生からの指示によって変わります。
1問に長時間かかる問題や、解説を読んでも理解が難しい問題が続く場合は、今週の優先度を下げる候補にします。家庭だけで削る範囲を決めず、「今のクラスではどこまで優先すべきですか」と校舎の先生に確認してください。
原因② 授業内容が定着する前に先へ進んでいる
日能研は復習を重視する塾です。授業を受けただけで終わらず、家庭で学び直すことで理解を定着させていきます。
特に、授業の翌日に基本問題へ戻っても手が動かない場合は、演習量の問題ではなく、授業内容そのものがまだ十分に定着していない可能性があります。
この場合は、栄冠への道を先へ進める前に、本科教室で先生が扱った問題をもう一度確認することを優先してください。
また、「思い起こし」など授業内容を振り返る部分は、記憶が残っているうちに取り組むほうが進めやすくなります。
原因③ 宿題を終わらせることが優先され、解き直しが後回しになっている
宿題を最後まで終わらせることに追われると、最初に削られやすいのが間違えた問題の解き直しです。
しかし、点数につながるのは一度問題を解いたことではなく、一度間違えた問題を、次は自力で解ける状態にすることです。
宿題が多い週ほど、新しい問題を増やすより、取れたはずの問題や繰り返し間違えている問題の直しを残してください。
宿題そのものが回らない場合は、こちらで削り方を解説しています。
原因④ 前の単元でつまずいたまま進んでいる
特に算数は、前に学んだ内容が次の単元の土台になります。割合の理解があいまいなまま比や速さに進むなど、前の単元に穴があると、今週の授業だけを復習しても理解しにくくなります。
「最近急についていけなくなった」と感じる場合は、今週の単元ではなく、その前に学んだ内容を確認してみてください。
育成テストを数回分並べ、同じ単元や似た問題で繰り返し失点しているなら、そこまで戻るのが近道です。
原因⑤ 分からない問題を質問できずにため込んでいる
「先生が忙しそう」「周りは分かっていそうで聞きにくい」と感じ、分からない問題をそのまま持ち帰るお子さんもいます。
この場合は、家庭で質問メモを作っておくと相談しやすくなります。書くのは次の3つだけです。
- 問題番号
- どこまで考えたか
- どこで分からなくなったか
「分かりません」だけでなく、止まった場所まで整理できれば、先生にも質問しやすくなります。
原因⑥ 睡眠不足や親子の関わりで家庭学習が回らない
学習内容ではなく、生活時間や家庭での関わり方が原因になっているケースもあります。
宿題を終わらせるために就寝時間が遅くなると、翌日の集中力が落ち、授業内容がさらに分かりにくくなる悪循環につながります。
また、保護者が解き方まで教えようとすると、親子だからこそ感情が入り、「なんで分からないの」とぶつかってしまうことがあります。
この場合は、寝る時間を先に決めることと、保護者が担う範囲を減らすことを優先してください。家庭では、学習時間や範囲の確認、質問する問題の整理まででも十分です。
6つの原因は、1つだけとは限りません。「やる範囲が広いうえに、解き直しがたまり、寝る時間も遅くなっている」というように、複数が重なっていることもあります。
まずは一番大きく時間を使っている原因を1つ選び、そこから直してください。すべてを一度に変えるより、家庭学習を立て直しやすくなります。
今週から変えられる4つのこと

① 授業当日に思い起こしだけ済ませる
まとまった時間が取れなくても構いません。授業のあった日に、思い起こしの部分だけ手をつけてください。
これだけで、週の後半の負担が変わります。
② やる範囲を学び直し①までに絞る
基礎クラスに在籍している場合、まずは学び直し①を確実にすることに集中してください。
②・③に手を出すのは、①を何も見ずに解ける状態になってからで十分です。順番を逆にすると、量だけ増えて点数は動きません。
③ 5分で止まったら飛ばす
分からない問題を15分、20分と考え続けると、他の科目に手が回りません。5分で手が動かなければ印をつけて飛ばし、次の授業で先生に質問してください。
飛ばすのはあきらめではなく、時間を守る練習です。
④ 保護者は解き方を教えすぎない
日能研と違う解き方で説明すると、お子さんが混乱することがあります。保護者が担うのは、次の4つに絞ってください。
- 今週やる範囲を一緒に決める
- 始める時間と寝る時間を決める
- 飛ばした問題があるか確認する
- 繰り返し落としている単元を記録する
4つ目の記録は、校舎に相談するときの材料になります。
科目別|日能研についていけないときの優先順位
ポイントは、4科目すべてを同時に立て直そうとしないことです。まずは一番つまずきが大きい1科目を決め、その科目の基本部分から戻してください。
| 科目 | まず確認すること | 優先する対策 |
|---|---|---|
| 算数 | 前の単元で止まっていないか | 授業問題・学び直し①から確認 |
| 国語 | 漢字・語句か読解か | 間違えた理由を分ける |
| 理科 | 知識不足か計算・考察か | 授業内容の基本事項を確認 |
| 社会 | 覚えていないか資料が読めないか | 基本用語と資料・地図を結びつける |
特に算数は前の単元の理解が次の学習に影響しやすいため、今週の問題だけを繰り返すより、どこで止まったのかを確認することが重要です。一方、国語・理科・社会は、「知識不足なのか」「問題の読み取り方なのか」を分けると対策を決めやすくなります。
学年別|日能研でつまずきやすい場所

4年生|1週間の型を作る
4年生は、全部を完璧にする時期ではありません。授業当日に思い起こし、翌日以降に学び直し①、育成テスト後に直す。この流れが1周できているかを見てください。
型ができていれば、量が増える5年生を楽に迎えられます。
5年生|後に響く単元を残さない
5年生は、算数で割合・比・速さ・図形など、後の単元の前提になる内容が増えます。ここでつまずくご家庭が最も多くなります。
直近3回の育成テストを並べ、繰り返し落としている単元を1〜3個に絞って戻ってください。全部を直そうとすると続きません。
6年生|志望校に必要な範囲で選ぶ
6年生は、通常授業に志望校対策と過去問が重なります。すべてに手が届かないのは当然です。
判断の基準は「志望校で必要かどうか」に変わります。全体の理解度より、志望校の頻出単元で得点できるかを見てください。
公開模試の偏差値が伸び悩んでいる場合は、こちらも参考にしてください。
校舎の先生への聞き方
家庭で切り分けても改善しない場合は、校舎に相談してください。「ついていけていません」だけでは、返ってくる答えも一般的なものになります。
- 状況を数字で伝える
例:家庭学習は平日2時間ですが、算数の学び直しまでで終わってしまいます。 - 切り分けの結果を伝える
例:授業の翌日に基本問題は解けるので、量の問題だと思っています。 - やる範囲を聞く
例:今のクラスでは、栄冠への道はどこまで解けば十分ですか。 - 授業中の様子を聞く
例:授業中、手が止まっている場面はありますか。
3つ目が最も重要です。ここが決まると、毎週「どこまでやればいいのか」と迷う時間がなくなります。
4つ目は家庭では分からないことです。「集中して取り組んでいます」と返ってくれば、家庭での見立てが変わります。
日能研を続けるか判断する基準

ついていけない状態が続くと、辞めるべきかという判断が必要になります。感覚ではなく、次の基準で分けてください。
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 翌日に授業問題は解ける。量が終わらない | 続ける:やる範囲を絞れば回る |
| 特定の科目・単元だけ手が止まる | 補う:その部分だけ外部に任せる |
| 授業内容がほとんど理解できない状態が数か月続く | 見直す:クラスや学習環境を検討する |
| 塾に行くこと自体をつらがっている、体調に影響が出ている | 見直す:成績より優先して環境を変える |
判断の期間は、やり方を変えてからクラス替え1サイクル分(4・5年生なら約2か月)を目安にしてください。
その間は点数だけで判断せず、次の3点も確認してください。
- 学び直し①が、次の育成テストまでに終わっているか
- 同じ単元で繰り返し失点しなくなっているか
- 就寝時間を守れているか
これが動いていれば、成績が横ばいでも方向は間違っていません。
なお、クラスが変わった直後は、学習内容や周囲の環境が変わり、一時的に結果が揺れることもあります。1回の結果で判断しないでください。
クラス落ちが不安な場合は、こちらも参考にしてください。
家庭教師を併用したほうがよいケース
ここまでの手順を試したうえで、次の状態が続く場合は、外部のサポートを検討するタイミングです。
- 学び直し①の段階から、自力で進められない
- どの単元まで戻ればよいか判断できない
- 育成テストの直しが毎回たまっている
- 質問できないまま帰ってくる状態が続いている
- 睡眠時間を削らないと終わらない
- 6年生で、志望校の過去問対策まで手が回らない
目的は「増やす」ではなく「戻る場所を決める」
併用の目的は、日能研の代わりに授業をしてもらうことではありません。任せたいのは次の役割です。
- 繰り返し落としている単元を特定し、戻る範囲を決める
- 本科教室・栄冠への道のどこをやり、どこを飛ばすか決める
- 育成テストの直しを一緒に行う
- 質問できずに残った問題を拾う
全科目を任せる必要はありません。算数だけ、育成テストの直しだけと目的を絞ると、費用も時間の負担も抑えられます。
併用で失敗しやすいパターン
- 新しい教材が追加され、栄冠への道が回らなくなる
- 日能研と解法が違い、お子さんが混乱する
- 学び直し①が固まっていないのに、応用問題を扱う
- 睡眠時間や休む時間が減る
無料相談では、日能研生の指導経験があるか、本科教室・栄冠への道と育成テストに対応できるか、講師を交代できるかを確認してください。ここが噛み合わないと、教材が増えるだけになります。
日能研の教材やテストに対応できる家庭教師を比較しています。
FAQ|日能研についていけないときのよくある質問
栄冠への道は全部やらないとダメですか?
全部やる必要はありません。日能研の説明では、学び直し①が完璧にできれば共通問題・基礎問題で高得点が狙えるとされています。学び直し②・③は応用問題への対応です。今のクラスに必要な範囲を校舎で確認してください。
育成テストの応用問題が解けません
応用問題には、授業で習わない入試問題に近い実力問題も出されます。基礎クラスであれば、まず共通問題と基礎問題を確実にすることを優先してください。
授業で何をやったか説明できません
翌日に本科教室の基本問題を1問解かせてみてください。自力で解ければ、少なくともその問題については授業内容がある程度定着していると考えられます。解けない場合は、学び直しに進む前に授業で扱った問題に戻ってください。
ついていけないのはうちの子だけですか?
珍しいことではありません。栄冠への道は幅広いレベルを網羅した教材なので、全部を解こうとすれば終わらない設計です。理解力の問題とは限りません。
親はどこまで教えるべきですか?
解き方を教える必要はありません。日能研と違う解法で説明すると混乱することがあります。範囲を決める、時間を管理する、飛ばした問題を確認する、落としている単元を記録するの4つに絞ってください。
転塾はいつ判断すればよいですか?
やり方を変えてからクラス替え1サイクル分は続けてください。授業内容がほとんど理解できない状態が数か月続く場合や、体調に影響が出ている場合は、環境の見直しを検討しましょう。
そもそも日能研の学習スタイルが合うか迷う場合は、こちらも参考にしてください。
まとめ|やる範囲が決まれば、ついていける
日能研についていけないと感じたときは、次の順で進めてください。
- 翌日に本科教室の基本問題を1問解かせ、理解か量かを切り分ける
- 量の問題なら、栄冠への道を学び直し①までに絞る
- 5分で止まったら印をつけて飛ばす
- 校舎に「どこまでやるべきか」を一度確認する
栄冠への道は、やさしい問題から入試レベルまでを収めた教材です。全部やろうとして苦しくなるのは、お子さんの力が足りないからではありません。
やる範囲が決まると、睡眠時間が戻り、解き直しの時間が生まれ、声をかける回数も減ります。
家庭だけで範囲の判断や解き直しの管理が難しい場合は、日能研を続けながら、詰まっている部分だけ外部に任せる方法もあります。
最後までお読みいただきありがとうございました。




