「帰国生入試で受けるなら、共通テストは受けなくていいのか」
海外で高校生活を送っていると、日本の大学受験の仕組みが分かりにくいことがあります。周りの友人は誰も共通テストの話をしていないのに、日本の大学受験について調べると「共通テスト」という言葉が何度も出てきます。
先に結論をお伝えします。帰国生入試では共通テストを課さない大学・学部もあります。ただし、国公立大学の一般選抜や私立大学の共通テスト利用方式を併願するなら、共通テストが必要になります。
さらに注意したいのが出願時期です。2027年度大学入学共通テストは、2026年9月15日から10月2日までが出願内容の登録期間です。
帰国生入試の合否日程は大学によって異なるため、「帰国生入試の結果を見てから共通テストを考えよう」としていると、出願に間に合わないケースがあります。
この記事では、共通テストが必要になるケースの見分け方と、受ける・受けないを考えるときのポイント、海外在住の受験生が共通テストを受ける場合に準備しておきたいことを解説します。
帰国子女に共通テストは必要か|結論は受験方式で決まる

共通テストが必要かどうかは、「帰国子女かどうか」ではなく、どの受験方式を使うかで決まります。
帰国生入試でも大学・学部によって選考方法は異なります。帰国生枠だから必ず不要、国公立大学だから必ず必要、と単純に分けることはできません。
まず、次の3点を確認してください。
- 本命の受験方式で共通テストが課されているか
- 本命が不合格だった場合、国公立大学の一般選抜を受けるか
- 私立大学の共通テスト利用方式を併願するか
3つとも該当しないのであれば、共通テストを受けない受験設計も考えられます。
まずは志望大学の募集要項を開き、「大学入学共通テスト」「選考方法」「試験科目」の欄を確認してください。
共通テストが不要なケース・必要なケース|一覧で確認する

受験方式ごとに分けると判断しやすくなります。
| 受験方式 | 共通テスト | 主な選考内容 |
|---|---|---|
| 私立大学の帰国生入試 | 課されない方式が多い | 書類・小論文・面接・英語資格・学力試験など |
| 国公立大学の帰国生入試 | 大学・学部による | 書類・小論文・面接・学力試験など |
| 総合型選抜(私立) | 課されない方式が多い | 書類・小論文・面接など |
| 総合型・学校推薦型(国公立) | 課す方式がある | 書類・面接・学力試験・共通テストなど |
| 一般選抜(国公立) | 原則必要 | 共通テスト+個別試験 |
| 一般選抜(私立・共通テスト利用) | 必要 | 大学が指定する共通テスト科目 |
| 海外大学 | 日本の共通テストを前提としない場合が一般的 | 国・大学によって異なる |
特に注意したいのは、国公立大学の帰国生入試と、総合型・学校推薦型選抜です。
同じ大学でも学部や選抜方式によって必要科目が異なるため、「帰国生だから共通テストはいらない」と思い込まず、志望年度の募集要項で確認してください。
帰国生入試の出願資格そのものの確認については、次の記事で整理しています。
▶ 帰国子女枠の大学受験条件|出願資格3つと、いつから逆算するか
共通テストは帰国生入試の結果を待ってからでは遅いことがある
ここは、海外から日本の大学を受験するご家庭に早めに確認してほしい点です。
「帰国生入試が不合格だったら、そのとき共通テストを考える」という順番では間に合わないことがあります。
2027年度大学入学共通テストは、出願に必要なマイページを2026年7月1日から10月2日までに作成し、出願内容を9月15日から10月2日までに登録します。検定料の支払いも10月2日までです。
本試験は2027年1月16日・17日に実施されます。
一方、帰国生入試の試験日や合格発表日は大学によって大きく異なります。9月までに結果が分かる大学もあれば、10月以降に試験や合格発表が行われる大学もあります。
| 時期 | 確認すること |
|---|---|
| 夏〜秋 | 帰国生入試の出願・試験・合格発表が始まる |
| 9月15日〜10月2日 | 2027年度共通テストの出願内容登録 |
| 秋〜冬 | 帰国生入試・総合型選抜などが続く |
| 1月16日・17日 | 2027年度共通テスト本試験 |
| 2月〜3月 | 国公立大学の個別試験など |
そのため、国公立大学の一般選抜などを保険として残したい場合は、志望する帰国生入試の合格発表日と、共通テストの出願締切を並べて確認してください。
2027年度から共通テストはWeb出願となり、高校在学中の受験生を含め、原則として本人が共通テスト出願サイトから手続きを行います。
日本の高校では進路指導の中で共通テストについて案内されることがありますが、海外の現地校では日本の共通テストについて学校から案内を受けられるとは限りません。
出願して受験しないという選択はできますが、締め切り後に新たに出願することはできません。迷っている場合ほど、早い段階で併願方針を決めておきましょう。
海外在住で共通テストを受けるなら、日本での受験日程も確認する

共通テストの試験場は日本国内に設定されています。
受験時点で海外にいる場合は、試験日に合わせて日本へ移動する必要があります。
ここは、学習面とは別に早く確認しておきたいところです。
- 現地校の学期と重ならないか——1月が通常授業期間の場合、欠席や試験との重なりを確認する
- 移動日程に余裕を持てるか——長距離移動や時差がある場合は、試験直前の到着を避けられるか確認する
- その後の大学別試験とどう組み合わせるか——再度海外へ戻るのか、日本に滞在するのかを考える
一時帰国できる期間に制約があるご家庭では、受験候補を増やすほど移動日程も複雑になります。
「受験できる大学」だけでなく、「実際に移動して受けられる日程か」まで確認することが大切です。
共通テストを受けるなら何が壁になるか|日本の高校課程との違いを確認する
海外で学んできた生徒の場合、日本の高校課程との違いが負担になることがあります。
共通テストは日本の学習指導要領に基づいて出題されるため、現地校で学んだ順序や範囲と一致しないことがあるからです。
| 教科 | 確認したいこと |
|---|---|
| 英語 | 海外生活が長い生徒は比較的取り組みやすい場合もあるが、共通テスト形式への慣れは必要 |
| 国語 | 現代文に加え、古文・漢文の履修状況を確認する |
| 数学 | 学ぶ単元や順序が異なるため、日本の出題範囲と照合する |
| 理科 | 履修範囲と日本語の用語の両方を確認する |
| 地理歴史・公民 | 日本の高校課程に対応する科目をどこまで学んでいるか確認する |
| 情報 | 志望大学が「情報Ⅰ」をどのように利用するか確認する |
何が大きな負担になるかは、生徒の学習歴によって違います。
たとえば、英語で理数科目を深く学んでいても、日本語の用語に慣れていないケースがあります。補習校などで国語を継続していても、古文・漢文は十分に扱っていない場合もあります。
そのため、「帰国子女は国語と社会が弱い」と決めつけるのではなく、共通テストで必要になる科目と、これまで実際に学んできた範囲を照らし合わせることから始めてください。
国立大学の一般選抜では、現在は「情報」を含む6教科8科目を課すことが原則です。ただし、公立大学を含め、実際に必要な教科・科目は大学・学部によって異なります。
共通テストを保険として利用する場合も、本命の帰国生入試対策とは別に、必要科目を準備する時間を確保できるかを考えましょう。
国語と数学の遅れをどう埋めるかは、それぞれ次の記事で解説しています。
▶ 帰国子女が国語についていけない4つの段階|今どこかで対策が変わる
▶ 海外在住で算数・数学ができない3つの原因|学年ではなく単元で埋める
共通テスト不要でも「日本型の出題範囲」への対策が必要なことがある

共通テストを課さない帰国生向けの選抜でも、数学や理科などで日本の高校課程に沿った問題が出される場合があります。
そのため、「共通テストを受けない=日本の高校科目を勉強しなくてよい」とは限りません。
私がオンライン個別指導の教育プランナーとして担当した受験生にも、その違いへの対応が必要になったケースがありました。
この生徒は、海外で国際的な教育プログラムを修了し、数学・理科を上位レベルで履修していました。理数科目そのものの理解度は高かった一方、日本の大学の特別選抜を受けるためには、日本の高校課程に沿った数学・理科の範囲と問題形式にも対応する必要がありました。
つまり、学力が不足しているというより、これまで学んだカリキュラムと入試で求められる範囲が一致していなかったのです。
指導では、最初に現在の理解度と未習範囲を確認し、日本型の問題に慣れるための演習を進めました。
ただ、この生徒は日常生活の中で受験勉強に使える時間に制約がありました。そこで、平日は短時間でも継続する内容を決め、まとまった時間を取れる日に演習を増やす形で進めました。
講師との面談でも進度を確認し、予定より時間がかかっている単元があれば、スムーズに進む部分を前倒しするなど、過去問演習に入る時期から逆算して調整しました。
この事例から分かるのは、「共通テストを受けないこと」と「日本型の科目対策が不要であること」は別だということです。
募集要項では、共通テストの有無だけでなく、「試験科目」「出題範囲」「使用言語」まで確認してください。
理系の帰国生受験で起こりやすい壁は、次の記事で詳しくまとめています。
▶ 帰国子女の大学受験は理系が難しい4つの理由|高1からの履修計画が鍵
米国大学が進路の中心なら、共通テスト対策を入れない選択もある
進路の中心が米国大学にあり、日本の一般選抜を利用する予定がないなら、共通テストを受けない受験設計も考えられます。
米国大学では、日本の共通テストとは異なる基準で出願者を評価します。高校での成績や履修科目の内容、エッセイ、活動歴などが確認され、標準テストの扱いも大学によって異なります。
私が担当した別のご家庭では、海外の高校に通う生徒が、米国大学の理系分野への進学を検討していました。
このケースで優先したのは、現地校の成績を安定させることと、今後より難度の高い理数科目を履修しても理解が崩れない土台を作ることでした。
指導では数学・生物・化学などを英語で扱い、学校の授業内容や今後の履修を見据えて、基礎から応用まで理解を確認しながら進めました。
生徒本人からも、説明をかみ砕いてもらえることや、自分の理解度に合わせて進められることが学習しやすさにつながっているという話がありました。
このご家庭では、日本の共通テスト対策を追加するよりも、現地校の学習と、今後の理系進学につながる科目の理解を優先する形を取りました。
ただし、将来、日本の大学を受験する可能性があるなら話は変わります。
日本の大学も選択肢に残す場合は、どの選抜方式なら利用できるのかを早めに調べておくことが重要です。
共通テストを課さない帰国生入試や総合型選抜などを利用できる場合もありますが、出願資格や必要な英語資格、学力試験の有無は大学によって異なります。
英語資格のスコアの考え方は、次の記事で整理しています。
▶ 帰国子女のTOEFLは何点必要?IELTSとの選び方と目標点の決め方
共通テストを受けるか迷ったときの判断基準|3つの質問

迷ったら、次の3つを順番に確認してください。
「受けておいた方が安心」という理由だけで科目を増やすと、本命の帰国生入試対策に使える時間が減ることがあります。
- 本命の方式は共通テストを課すか?
→ 課す:大学が指定する科目を準備する
→ 課さない:2へ - 本命が不合格だった場合、国公立大学の一般選抜を受けたいか?
→ 受けたい:共通テストの出願・必要科目の準備をする
→ 受けない:3へ - 私立大学の共通テスト利用方式を併願したいか?
→ 利用したい:志望大学が指定する科目を準備する
→ 利用しない:共通テストを受けない設計も検討できる
私立大学の共通テスト利用方式は、必要な科目数が大学・学部によって異なります。
少ない科目数で出願できる方式もあるため、共通テストを受けるなら「全部の科目を準備する」と決める前に、利用したい大学の指定科目を確認してください。
共通テストを使わず帰国生入試を中心に受験する場合は、帰国生入試や総合型選抜の中で併願できる大学を組み合わせる方法もあります。
帰国生入試と総合型選抜の併願の考え方は、次の記事で解説しています。
▶ 帰国子女の総合型選抜対策|いつ何を準備するかを元教育プランナーが解説
共通テストを受けると決めたら|いつから何を始めるか
まず必要なのは、志望大学が指定する科目と、自分が未習の範囲を早めに確認することです。
特に海外の高校で学んでいる場合、日本の高校と同じ順序で科目を履修しているとは限りません。
国語の古文・漢文、地理歴史・公民、情報Ⅰなど、これまでの学校生活で十分に扱っていない科目があるなら、高3になってから一度に始めるのではなく、早めに準備を始めた方が負担を分散できます。
| 時期 | 確認・準備すること |
|---|---|
| 高2 | 候補となる受験方式を調べ、未習科目・単元を確認する |
| 高3の春 | 志望校を絞り、共通テストで必要な教科・科目を確認する |
| 高3の夏 | 帰国生入試の書類・小論文・面接と並行しながら、必要に応じて共通テスト形式の演習を進める |
| 高3の秋 | 共通テストの出願手続きを忘れずに行う |
| 高3の冬 | 海外在住の場合は移動日程を確認し、共通テスト本番に備える |
高3の夏以降は、帰国生入試の志望理由書、小論文、面接などの準備と重なることがあります。
だからこそ、共通テストを利用する可能性があるなら、高3の秋になって初めて必要科目を知る状態は避けたいところです。
共通テスト対策と帰国生入試対策を、どこで並行するか

海外在住の受験生が両方を並行する場合は、次のような点を確認して相談先を選びましょう。
- 必要な複数科目を相談できるか——志望大学の指定科目に合わせて計画できるか
- 未習単元まで戻れるか——学年だけで一律に進めず、実際の履修状況を確認してもらえるか
- 帰国生入試の準備との配分を相談できるか——書類・小論文・面接と教科学習の優先順位を整理できるか
- 時差を考慮して受講できるか——海外生活を続けながら無理のない時間帯で継続できるか
海外から日本の大学受験を準備する場合、現地校の学習、帰国生入試、日本型の教科学習を別々に考えると、負担が大きくなることがあります。
科目ごとに必要な指導を受けながら、受験全体の優先順位を定期的に見直せる体制があると進めやすくなります。
共通テストと帰国生入試を並行するなら、どこが合うのか。海外から受講できる5社を、対応できる科目・時間帯・相談体制で比べた記事はこちらです。
▶ 帰国子女におすすめのオンライン家庭教師5選|専門塾・現地塾との違いも解説
帰国子女の共通テストについてよくある質問
帰国生入試なら共通テストは受けなくていいですか?
共通テストを課さない帰国生入試はありますが、大学・学部・選抜方式によって異なります。私立・国公立を問わず、志望年度の募集要項で「選考方法」と「試験科目」を確認してください。
帰国生入試の結果を見てから共通テストを決めてもいいですか?
志望大学の合格発表日によっては間に合いません。2027年度共通テストは、出願内容の登録が2026年9月15日から10月2日までです。帰国生入試の合格発表日と並べて確認してください。
海外で共通テストを受けられますか?
共通テストの試験場は日本国内に設定されています。受験時に海外在住の場合は、日本への移動日程も含めて準備する必要があります。
英語だけで共通テストを使える入試はありますか?
私立大学の共通テスト利用方式では、必要科目数の少ない方式があります。ただし、英語1科目だけで出願できるかどうかを含め、科目の組み合わせは大学・学部ごとに異なります。必ず募集要項で確認してください。
古文・漢文をほとんど習っていません。いつから始めればいいですか?
まず、志望大学の方式で国語が必要かを確認してください。必要で、古文・漢文が未習に近い場合は、高3の帰国生入試対策と重なる前から少しずつ始めた方が負担を分散できます。
まとめ
- 共通テストが必要かどうかは帰国子女かどうかではなく、利用する受験方式で決まる
- 帰国生入試でも大学・学部・選抜方式によって扱いが違う
- 2027年度共通テストの出願内容登録は2026年9月15日〜10月2日
- 帰国生入試の結果を待っていると、共通テストの出願に間に合わないケースがある
- 海外在住で受験する場合は日本への移動日程も考える
- 国立大学の一般選抜では、現在は情報を含む6教科8科目が原則
- 共通テストが不要でも、日本の高校課程に沿った数学・理科などが出題される場合がある
- 米国大学を中心に考える場合は、現地校の成績や履修計画を優先する受験設計もある
共通テストを受けるかどうかは、「受けておいた方が安心だから」だけで決める必要はありません。
共通テストを受けることで残せる選択肢と、その準備に必要な時間を比べて決めることが大切です。
まずは本命と併願候補の募集要項を開き、「共通テスト」「試験科目」「出題範囲」の3点を確認してください。
※大学入学共通テストの日程や各大学の選抜方式・試験科目は年度によって変更されます。最新情報は大学入試センターおよび各大学の募集要項で必ずご確認ください。また、記事内の担当事例は、筆者が実際に学習相談・面談を担当したケースをもとに、個人やご家庭が特定されないよう、学年・時期・学習状況など一部の情報を抽象化・変更して掲載しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。




