帰国子女の英語維持|小学生・中学生・高校生別に何をすべきか解説

「せっかく身につけた英語を、帰国後に忘れさせたくない」

帰国が決まったご家庭が、真っ先に考えることだと思います。ただ、何をすれば維持できるのかは意外とはっきりしません。英会話に通わせればいいのか、英検を受けさせるべきか、それとも自宅の多読で足りるのか。

先に結論をお伝えします。帰国後も英語力を保ちたいなら、「英会話を続ける」だけでなく、読む・書く・語彙にも意識的に触れる環境を残すことが大切です。帰国後の英語力の変化には個人差がありますが、日常生活で英語を読む・書く機会が減ると、現地校で伸ばしていたリテラシーや語彙の成長が止まりやすくなるためです。

この記事では、何がどう落ちるのかを整理したうえで、学年別に優先すべきことと、オンライン学習をどう使うかを解説します。

目次

帰国子女の英語力は帰国後どう変わる?維持したい4技能

まず、実態を正確に押さえてください。帰国後に起こるのは「英語をすべて忘れる」ことではありません。技能ごとに落ち方がまったく違います。

技能帰国後に意識したいこと
話す・聞く英語を使う相手が減ると、反応の速さや流暢さに変化が出ることがある
読む現地校と同じレベルの英文を読む機会が減りやすい
書く学校外では英文を書く機会を作りにくいため、意識して残したい
語彙今ある単語を忘れるだけでなく、学年とともに増えるはずの語彙を伸ばし続けることが重要

とくに理解しておきたいのが、最後の語彙です。

現地にいれば、学年が上がるにつれて扱う語彙も抽象的になっていきます。経済、環境、社会制度といったテーマの語彙は、その学年の授業を受けているから自然に入るものです。帰国してこの積み上げが止まると、本人は忘れていないのに、同年代の現地生との差は毎年開いていきます。

「維持」という言葉から想像するのは現状キープですが、実際には止まった時点から相対的に下がっていくと考えたほうが正確です。

帰国子女が「話せるのに英検に落ちる」理由

帰国子女が「話せるのに英検に落ちる」理由

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

帰国子女のお子さんが英検を受けて、スピーキングは問題なく通るのに、リーディングで落ちる——私が教育プランナーとして担当した帰国生の中にも、会話は流暢でも、英検ではリーディングや語彙で点が伸びず苦戦するケースがありました。

理由は明確です。会話で使う英語と、試験で問われる英語は別物だからです。

  • 試験の長文は、日常会話には出てこない抽象的なテーマを扱う
  • 語彙問題は、話す力ではなく覚えている単語数がそのまま出る
  • ライティングは型があり、慣れていないと減点される
  • 文法は、感覚で正誤が分かっても、設問形式に慣れが要る

そして厄介なのが、不合格が続くことで、本人のモチベーションが下がることもあります。周囲からは「英語ができる子」と思われているのに、結果が出ない。何度か落ちるうちに、英語そのものへの意欲が下がっていきます。

維持のために取り組むはずが、逆効果になる。これを避けるには、会話力と試験の英語力は別だと最初から分けて考えることです。

英語維持は帰国前から設計する|目標と学習体制を決める

英語維持は帰国前から設計する|目標と学習体制を決める

英語を長く維持するためには、帰国してから考えるのではなく、海外にいるうちに「何を目標にするか」と「どう続けるか」を決めておくのがおすすめです。

「維持する」だけを目標にしない

私が教育プランナーとして担当したご家庭でも、英語を維持するために学習を始めたものの、途中で続かなくなるケースがありました。

理由の1つは、「維持できているか」が本人にも保護者にも見えにくいことです。上達すれば変化を感じられますが、現状を保てているかどうかは実感しにくいためです。

そこで、「英語を忘れない」こと自体をゴールにするのではなく、次のような目に見える目標につなげます。

  • 英語資格の級やスコアを目標にする——結果が数字で確認できる
  • 高校・大学入試での活用を見据える——出願要件や評価材料として使える資格を確認する
  • 読む素材のレベルを少しずつ上げる——読める文章の変化から成長を確認する

資格や入試という出口が見えると、「なぜ英語を続けるのか」が分かりやすくなります。

帰国前に、続けられる学習体制を決めておく

もう1つ、帰国前に決めておきたいのが学習体制です。

帰国直後は、転校や引っ越し、新しい生活への適応で手一杯になり、英語学習が後回しになりやすくなります。そのため、帰国後も続ける方法を在外中に決めておくと学習を途切れさせにくくなります。

あわせて、帰国直前に英語力を一度確認しておくと、その後の変化も追いやすくなります。資格のスコアや読解問題、ライティングなど、比較できる形で記録を残しておくとよいでしょう。

オンラインの個別指導であれば、時差に対応できるサービスを選ぶことで、海外在住中から帰国後まで同じ学習方法を続けることもできます。同じ担当者・講師で継続できれば、帰国後に学習状況を一から説明し直す負担も減らせます。

また、帰国後に日本語や他教科の遅れが見つかった場合は、英語だけに固定せず、優先順位を見直すことも必要です。帰国生の学習は、進路や受験時期によって途中で重点が変わることを前提に考えておきましょう。

入試で英語資格がどのように使われるかは、次の記事でも整理しています。

帰国子女は大学受験で有利?条件を満たす人と満たさない人の違い

帰国子女の英語維持|学年別に優先したいこと

優先順位は学年で変わります。全部やろうとせず、その時期に効くものに絞ってください。

小学生|「英語を嫌いにさせない」が最優先

この時期に資格対策を詰め込むと、英語そのものへの拒否感につながります。優先すべきは、英語に触れる習慣を切らさないことです。

  • 読む素材を確保する——現地で読んでいたレベルの本を継続して読める環境をつくる
  • 話す機会を週に1回でも残す——完全にゼロにすると、反応の速さから落ちます
  • 書く量を増やしすぎない——短い日記や本の感想など、無理なく続けられる形で残す

なお、この時期に見落とされやすいのが日本語のほうです。英語の維持に注力するあまり、漢字や語彙が学年相応から遅れていることがあります。受験を考えるなら、日本語の立て直しのほうが優先度は高くなります。

中学生|「読む」を意識的に足す

帰国時の英語力によっては、日本の学校の英語授業だけでは、現地校で身につけた読む力や語彙を伸ばし続けるには物足りないことがあります。

ここで必要なのは、学校の外で読む量を確保することです。あわせて、資格を1つの目標に置くと取り組みやすくなります。

ただし前述のとおり、会話ができることと試験で点が取れることは別です。資格に挑むなら、語彙と長文読解を対策として組み込んでください。「できるはずだから受かる」と無対策で受けると、落ちてモチベーションを損ないます。

高校生|入試での使い道から逆算する

高校生になると、維持は目的ではなく手段になります。入試でどう使うかから逆算する段階です。

確認すべきは次の3点です。

  1. 志望校がどの資格を認めているか——使える資格の種類は大学ごとに指定されています
  2. 級指定かスコア指定か——CSEスコアやCEFRで基準が示されている場合は、級の合否とは別にスコアで条件を満たせるケースがあります。ただし、大学側が受験級そのものを指定している場合もあるため、募集要項を確認してください。
  3. 有効期間はいつまでか——早く取りすぎると出願時に期限切れになります

この段階では、抽象テーマの語彙と、論理的に書く力が問われます。日常会話の延長では届かない領域なので、対策として取り組む必要があると考えてください。

帰国子女の英語維持はどうする?4つの方法を比較

ここまでを踏まえて、手段を比較します。

手段得意なこと確認したいこと
オンライン英会話話す・聞く機会を作りやすい読解・語彙・作文まで扱うかはサービスによる
帰国子女向け英語塾帰国生向けの読解・作文・資格対策を受けやすい通塾範囲・指導内容・費用
自宅での多読読む量を確保しやすい本のレベル選びと継続管理
オンライン個別指導目的に合わせて資格・読解・添削を組みやすい授業外の自学をどう設計するか

結論としては、目的によって使い分けるのが現実的です。

話す機会の確保だけならオンライン英会話で足ります。比較的費用を抑えながら、話す機会を増やしやすい方法です。一方、資格のスコアを積む、ライティングを添削してもらう、入試で使うところまで見据えるとなると、英会話だけでは届きません。

資格対策やライティングの添削まで含めて個別に見てもらいたい場合は、オンライン個別指導も選択肢になります。実際の料金や帰国生の使い方は、次の記事で詳しく紹介しています。

トライのオンライン個別指導塾「帰国子女コース」の料金と口コミ評判を徹底解説!

この2つを混同すると、「英会話に通わせているのに資格に受からない」という状態になります。やっていることと目的がずれているだけで、本人の力の問題ではありません。

帰国後も英語を維持するための3つの続け方

帰国後も英語を維持するための3つの続け方

手段を決めたら、続く仕組みをつくります。うまく回っているご家庭に共通していたのは、次の3つでした。

①提出先のある課題を出してもらう

誰かに見せる前提があると、人は取り組みます。意志の強さではなく仕組みの話です。とくに書く練習は、提出先がないとまず続きません。

②量ではなく「触れる日数」で決める

1回にまとめて長時間取り組むだけでなく、短時間でも英語に触れる日を増やすことを意識してください。特に語彙は、繰り返し触れる機会を作ることが大切です。語彙はとくにそうで、触れる頻度がそのまま定着に直結します。

③定期的に数値で測る

維持は体感できないからこそ、測る必要があります。資格の受験、過去問の得点、単語の小テストの正答率——形式は何でも構いません。

数字が残っていれば、次に何をやるかが決まります。逆に測っていないと、「なんとなく不安」なまま時間が過ぎます。

よくある質問

オンライン英会話だけでは維持できませんか?

話す・聞く力の維持には有効です。ただし読む・書く・語彙は別の手当てが必要です。資格や入試での活用まで考えるなら、英会話だけでは届きません。

帰国後どれくらいで落ち始めますか?

一律に「帰国後◯か月で落ちる」とは言えません。帰国時の年齢、海外在住期間、身につけていた英語力、帰国後に英語を使う頻度などによって差があります。大切なのは、帰国直前の英語力を一度記録し、その後も定期的に読む・書く・話す力を確認することです。

英語より日本語を優先すべきでしょうか?

受験を控えているなら、日本語の優先度が上がることが多いです。英語力は資格やスコアとして客観的に示せますが、日本語の遅れは高校・大学受験の科目学習にも影響します。両方の配分は、志望校の受験科目から逆算して決めてください。

資格は何を目指せばいいですか?

志望校が認めている資格から選んでください。使える種類は学校ごとに指定されています。取りやすさで選んで、後から使えないと分かるのが最も避けたい展開です。

まとめ

  • 帰国後の英語力の変化には個人差がある。会話だけでなく、読む・書く・語彙にも継続して触れる
  • 話せるのに資格に落ちるのは、会話の英語と試験の英語が別物だから
  • 維持だけを目的にすると続かない。資格や入試という出口に接続する
  • 小学生は嫌いにさせない、中学生は読む量、高校生は入試からの逆算
  • 手段は目的で使い分ける。英会話と資格対策は別物として設計する

英語の維持は、続けること自体が難しい取り組みです。だからこそ、何のために続けるのかを先に決めておくことが、結果的にいちばんの近道になります。

まずは志望校や進路の候補を出し、そこで英語がどう使われるかを確認してみてください。目的が決まれば、やるべきことは自然と絞られます。

※資格の扱いや入試での要件は、学校および年度によって異なります。最新の情報は各校の募集要項でご確認ください。本記事の内容は、筆者が担当したご家庭に共通して見られた傾向をまとめたもので、特定の生徒・ご家庭の情報は含みません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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