帰国子女が英語で受験できる大学・入試|日本語が必要になる落とし穴も解説

「日本語の試験は不安だから、英語だけで受験できる大学はないだろうか」。海外で高校生活を送るお子さんのご家庭から、こうした相談を受けてきました。

英語での出願・選考が可能な大学はあります。ただし、日本語の筆記試験がないことと、日本語能力が出願条件になっていないことは別です。

また、英語資格だけで合否が決まるとは限りません。高校の成績、志望理由書、エッセイ、面接、各国の統一試験など、入試方式ごとに評価される内容が異なります。

この記事では、英語を軸に検討できる入試の探し方と、日本語・英語資格・海外就学歴の確認ポイントを解説します。あわせて、私がトライのオンライン指導の教育プランナーとして担当した面談事例を2件紹介します。

※本記事にはプロモーションが含まれます。

※制度説明は、2026年10月4日時点で確認できた大学公式の2027年度募集要項・入試案内を中心にまとめています。過年度情報を参考にした箇所は、その旨を記載しています。面談事例は当時の相談内容であり、現在の出願条件や合格を保証するものではありません。

目次

帰国子女が英語だけで受験できる大学はある?入試方式ごとに確認しよう

帰国子女が英語だけで受験できる大学はある?入試方式ごとに確認しよう

日本語能力を出願時に求めず、英語で作成する書類などを通じて選考する入試はあります。ただし、大学名だけでは判断できません。同じ大学でも、帰国生向けの選抜と英語による選考では条件が異なる場合があります。

まず、希望する「英語だけ」が、次のどの意味なのかを整理しましょう。

  • 選考を英語で受けたい:提出書類・エッセイ・面接などの使用言語が英語である
  • 日本語の筆記試験を避けたい:国語や日本語の小論文などの筆記試験が課されない
  • 日本語能力を出願条件にしない方式を探したい:日本語資格や日本語での就学歴が出願要件になっていない

日本語の筆記試験がなくても、日本語による面接や日本語能力の要件がある場合があります。さらに、入試で日本語が不要でも、入学後に日本語を学ぶ科目が必修になることがあります。出願条件・選考言語・入学後の授業を分けて確認することが大切です。

英語を軸に受験する3つの探し方|書類選考・英語で学ぶプログラム・一般選抜

入試を探すときは、次の3つの観点が役立ちます。これは正式な入試区分ではなく、選考方法と学ぶ言語から候補を整理するための分類です。複数の観点に当てはまる方式もあります。

探し方確認する内容検討しやすい人
① 書類・面接を中心とする選抜成績証明、英語資格、志望理由書、エッセイ、面接の条件英語力に加え、学習歴や活動経験を伝えたい人
② 英語で学ぶ学部・プログラム出願言語、選考言語、授業言語、日本語科目の履修条件英語で大学の専門分野を学びたい人
③ 一般選抜の英語中心方式英語以外の試験科目、外部英語資格の必要性、共通テストの利用英語の筆記や論述を得点源にしたい人

① 書類・面接中心の選抜:英語資格以外の評価も確認する

書類・面接中心の選抜では、英語資格を出願条件にする方式もあれば、教育歴などによって提出を免除する方式もあります。資格が必須か、どの試験を使えるか、何を評価するかを募集要項で確認してください。

総合型選抜の準備については、こちらで解説しています。

▶ 帰国子女の総合型選抜対策|いつ何を準備するか

② 英語で学ぶプログラム:入試と入学後の日本語を分けて確認する

英語で学ぶプログラムを希望する場合は、英語による出願・選考が可能かを確認しましょう。英語資格のほかに、高校の成績や統一試験の結果などを求める場合もあります。

入学後についても、専門科目を英語で履修できる範囲、日本語科目の必修・免除条件、希望する学位を取得するための履修条件まで確認すると、進学後の見通しが立ちます。

③ 一般選抜の英語中心方式:外部英語資格が必要な場合もある

一般選抜にも、英語を中心に受験できる方式があります。たとえば、青山学院大学文学部英米文学科の一般選抜D方式は、2026年度の公開資料では英語による論述と外部英語資格・検定試験を用いる方式です。「英語の当日試験さえ受ければよい」という意味ではありません。

2027年度については、大学公式の一般選抜案内で英米文学科の「独自問題+英語資格・検定試験」の方式を確認できます。ただし、2026年10月4日時点の要項掲載ページでは一般選抜要項が昨年度参考となっているため、D方式の具体的な条件は2027年度の詳細要項で最終確認してください。

英語を軸に検討できる大学の入試比較|日本語が必要な方式も確認

以下は、大学公式資料で確認した入試の例です。英語による選考が可能な方式と、日本語が必要な比較例を含めています。掲載した方式すべてが「英語だけ」で受験できるわけではありません。

大学・学部確認した入試方式・年度日本語の扱い・選考の特徴英語資格などの確認点
早稲田大学 国際教養学部2027年度AO入試・4月入学(国外選考)/9月入学出願時の日本語能力は不要と明記。書類による総合審査で、必要に応じて面接を実施。入学後の日本語科目はStudy Planによって異なるTOEFL iBT・IELTSなどの提出条件と免除規定を確認。4月・9月で免除条件が異なる。成績・統一試験・英文エッセイなども審査対象
上智大学 外国語学部英語学科2027年度IB入試・第1期募集書類審査で選考。指定の日本語IB科目履修、JLPT N1合格、または中高相当の6年間で3年以上日本の教育制度の学校に在籍したことのいずれかが必要IBの指定科目・履修レベルなどを確認。この方式のTOEFL・IELTS提出指定は文学部英文学科であり、外国語学部英語学科とは異なる
国際基督教大学(ICU)2027年度総合型選抜〈4月入学〉外国教育制度利用(帰国生)十分な日本語能力が必要。日本語による書類選考と面接を実施。English Language Based Admissionsとは別の選抜IELTS・TOEFL・Cambridge English Qualificationsの成績を利用。英語能力証明の提出条件を要項で確認
立命館アジア太平洋大学(APU)2027年度帰国生徒(海外就学経験者)選抜〈英語基準〉書類選考と録画面接。英語基準で出願可能。日本国籍保持者・永住者が対象で、海外就学歴などの条件あり。書類・面接の使用言語は要項で確認IELTS Academic総合6.0以上・各技能5.5以上など。英語での教育歴やIB取得などによる別の英語能力条件もある
慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部(SFC)2026夏秋AO〈2027年4月・9月入学〉出願書類は日本語または英語。面接言語も選択可能。4月入学の手続きは日本語で、日本語での授業が難しい場合は9月入学を推奨英語出願で英語を第一言語としない場合、英語試験結果または英語学習歴の証明書類を提出。出願条件となる点数は設定されていない
青山学院大学 文学部英米文学科2027年度自己推薦入学者選抜第一次審査は書類審査。第二次審査の小論文・面接は英語と日本語を使用英検準1級以上、IELTS Academic5.5以上など、指定資格のいずれかを満たす。英検だけが必須ではない
青山学院大学 文学部英米文学科一般選抜D方式〈2026年度資料を参考〉英語による論述と外部英語資格・検定試験を利用。自己推薦とは別方式2027年度の詳細要項で、D方式の実施内容・資格基準・判定方法を最終確認

出典:早稲田大学国際教養学部 入試要項/上智大学 IB入試第1期/ICU 外国教育制度利用(帰国生)/APU 出願資格/APU 入試FAQ/慶應義塾大学 SFC AO入試/青山学院大学 入学者選抜要項

たとえば、早稲田大学国際教養学部の上記方式では出願時の日本語能力は不要ですが、ICUの上記帰国生向け選抜では日本語が必要です。「英語で学ぶ大学」「帰国生向けの入試」という名称だけで、日本語の必要性を判断しないでください。

英語中心の入試でも、日本語が必要になる3つの場面

英語中心の入試でも、日本語が必要になる3つの場面

日本語が必要かどうかは、出願条件と選考方法から確認します。とくに、次の3点を分けて見てください。

  • 出願条件:日本語資格、日本語のIB科目、日本の教育制度での就学歴などが求められていないか
  • 提出書類:志望理由書などを日本語で作成する必要があるか、日本語学習歴などの証明が必要か
  • 当日の選考:日本語の筆記試験・小論文・面接が課されるか、選考言語を選択できるか

たとえば、学習院大学文学部英語英米文化学科の2027年度総合型選抜(外国高等学校出身者及び帰国生徒)では、英語・日本語・日本語による小論文の筆記試験と面接があります。面接は日本語で行われ、英語で簡単な質問をされることもあります。英語系の学科でも、日本語の対策が必要な例です。

出典:学習院大学 総合型選抜(外国高等学校出身者及び帰国生徒)2027年度募集要項

日本語の読み書きに不安がある場合は、入試に必要な内容と、現在の学習状況を分けて整理しましょう。

▶ 帰国子女の国語がついていけない原因と、学年別の立て直し方

英語資格の目標点はどう決める?出願基準と選考での評価を分ける

出願に必要なスコアと、合格を目指すための目標スコアは同じとは限りません。ただし、最低基準を超えれば合格できるわけでも、特定の点数なら必ず有利になるわけでもありません。資格の役割と、そのほかの選考内容を確認しましょう。

面談事例①|候補校の条件から、IELTSの学習目標を整理したご家庭

私がトライのオンライン指導の教育プランナーとして担当した、高校生のご家庭の面談事例です。英語を使う現地校で学んでいましたが、日本の大学への出願に向けて、どの英語資格を、いつまでに取得するかが課題でした。

面談では、候補校ごとに英語資格の扱いと必要な準備を整理しました。そのうえで、このご家庭ではIELTS6.0以上を学習目標とし、英語資格の対策を進める方針を立てました。これは当時の候補校と本人の状況に合わせた目標であり、帰国生全員に共通する出願基準ではありません。

受験計画では、まず1回受験して各技能の得点と課題を確認し、その後の学習状況を見て再受験することを検討しました。受験料だけでなく、出願締切までに結果を受け取り、必要な証明書を提出できる日程かどうかも確認する方針でした。

この面談で整理したのは、英語資格の点数だけではありません。「どの大学の、どの方式に、何のためにスコアを提出するか」を明確にしたうえで、学習目標と受験時期を考えました。

IELTSと英検は、試験形式や評価方法が異なります。「IELTS5.0なら英検2級と同じ」と単純に置き換えず、志望校が指定する試験・級・CSEスコア・総合点・各技能の条件をそれぞれ確認してください。

▶ 帰国子女のTOEFL iBT・IELTSは何点必要?進学先別の目安

海外就学期間が条件に届かない場合|別の総合型選抜や英語による選考も探す

帰国生向けの入試では、海外の学校での在籍期間、学校の種類、帰国時期などを出願条件にする場合があります。海外に住んだ期間と、要項が指定する学校で学んだ期間は、同じとは限りません。

希望する帰国生入試の条件に届かない場合は、海外就学期間を要件にしない総合型選抜や、外国の教育課程の修了資格を用いる入試、一般選抜も含めて探しましょう。ただし、それぞれに卒業時期・成績・活動実績・語学などの条件があります。

面談事例②|海外就学歴と英語資格から、受験できる方式を見直したご家庭

私がトライのオンライン指導で担当した、海外の高校に通うご家庭の事例です。面談では、検討していた帰国生向けの入試について、海外就学期間の条件を満たせるかが課題になりました。

そこで、帰国生向けの入試だけに絞らず、本人の卒業資格で出願できる総合型選抜などを探し直す方針を整理しました。日本の高校の評定を用いる方式についても、外国の教育課程出身者に適用される条件を確認する必要がありました。

英語資格の学習では、英検2級の取得に課題があり、準1級を目指す場合の学習負担も検討しました。IELTSの利用も選択肢に挙がりましたが、IELTSのほうが簡単と判断したのではなく、候補校で使える資格と本人に必要な対策を確認する方針でした。

  • 候補校の学部・入試方式ごとに、海外の高校出身者の出願資格を確認する
  • 英検を使う場合は、必要な級とCSEスコア、合否の条件を確認する
  • IELTSを使う場合は、総合点・各技能・受験方式・提出期限を確認する
  • 英語資格と並行して、成績証明書・志望理由書・面接などの準備を進める

この事例でお伝えしたいのは、特定の資格に切り替えれば解決するということではありません。使える入試方式を確認してから、その方式に必要な準備を決めるという順番です。

なお、「評定条件の免除」と「学校の成績が評価されないこと」も別です。たとえば、明治大学国際日本学部の2027年度自己推薦特別入試では、原則として評定平均4.0以上を求めますが、外国の教育課程出身者などで評定平均の算出が不可能な場合は、その条件を免除する規定があります。成績条件だけでなく、活動実績・英語資格などの要件も確認する必要があります。

出典:明治大学 国際日本学部2027年度自己推薦特別入学試験要項。上記は制度の確認例であり、面談事例の志望校を示すものではありません。

▶ 帰国子女枠の大学受験条件|出願資格といつから逆算するか

英語中心で受験するなら、高2から逆算する3ステップ

英語中心で受験するなら、高2から逆算する3ステップ

準備は、出願条件の確認、英語資格の計画、書類・面接などの対策をつなげて進めます。海外の学校の卒業時期と日本の入学時期が合わない場合もあるため、高2までに候補を整理できると、日程を組みやすくなります。

ステップ1:学部・入試方式・入学時期を決め、出願条件を確認する

大学名だけでなく、学部、入試方式、4月・9月などの入学時期まで絞って要項を確認しましょう。日本語の扱い、海外就学歴、卒業資格、成績条件、英語資格、出願書類を書き出します。

条件を満たすか判断できない場合は、大学の入試担当窓口に確認してください。出願資格の事前審査が必要な方式では、通常の出願より早い締切に注意が必要です。

ステップ2:スコアの提出期限から、受験日と再受験の余裕を逆算する

必要な点数に加え、スコアの有効期間、受験方式、証明書の発行・直送方法を確認します。受験日が締切前でも、結果や証明書が間に合わなければ出願に使えない場合があります。

最初の受験結果から課題を把握し、再受験できる余裕を残して計画を立てましょう。試験日や会場の確保、学校の試験日程、受験費用も合わせて考えます。

ステップ3:書類・面接・小論文は、資格対策と並行して準備する

英語資格の結果が出るまで、書類の準備を止める必要はありません。成績証明書や推薦状の発行依頼、志望理由の整理、エッセイや面接の準備を並行して進めてください。

提出書類は本人の経験と考えをもとに作成し、大学が示す作成ルールに従います。先生に相談する場合も、本人の考えを整理し、表現を改善する支援を受けることが大切です。

海外にいながら英語資格と入試対策を進める方法

海外にいながら英語資格と入試対策を進める方法

海外から日本の大学を目指す場合は、学校の進路担当者、帰国生入試に対応する専門塾、オンライン個別指導などに相談できます。英語資格の指導ができることと、志望校の書類・面接に対応できることは別なので、依頼する内容を分けて確認しましょう。

  • 志望する学部・入試方式の準備に対応できるか
  • 必要な英語資格と、苦手な技能の指導を受けられるか
  • 志望理由書・小論文・面接など、必要な対策の範囲はどこまでか
  • 時差を含む受講日程と、出願締切までの計画を組めるか

海外から受講できるサービスは、こちらで比較しています。

▶ 帰国子女におすすめのオンライン家庭教師5選|専門塾・現地塾との違いも解説

トライの海外在住・帰国子女向けオンライン個別指導も、相談先の一つです。公式ページでは、帰国子女受験や英検・TOEFL・IELTSなどの対策を案内しています。利用を検討する場合は、志望校、現在の英語力、必要な書類・面接対策を伝え、対応できる講師や指導内容を確認してください。

▶ トライの帰国子女向けオンライン指導|料金・口コミ・評判

よくある質問

Q. 日本語がほとんど話せなくても、日本の大学を受験できますか?

出願時に日本語能力を求めない方式はあります。たとえば、早稲田大学国際教養学部の2027年度AO入試・4月入学(国外選考)と9月入学では、日本語能力は出願時に不要と明記されています。ただし、卒業資格などの出願条件を満たす必要があり、入学後の日本語科目の扱いも別に確認してください。

Q. 英語資格がなくても受験できる入試はありますか?

あります。資格を必須にしない方式や、一定の教育歴・提出する統一試験などによって資格の提出を免除する方式があります。ただし、英語資格が不要でも、英語での学習や選考に対応する力は必要です。免除条件と代わりに提出する証明書を確認してください。

Q. TOEFL・IELTS・英検は、どれを選べばいいですか?

まず、候補校で使える試験と基準を確認します。そのうえで、複数の出願先で使えるか、本人の得意・不得意に合うか、受験日程や費用に無理がないかを比較してください。試験名が同じでも、自宅受験や再受験スコアの扱いが異なる場合があります。

Q. 海外での就学期間が2年未満なら、帰国生入試は受けられませんか?

一律には決まりません。必要な期間、対象学年、学校の種類、帰国時期は大学・方式によって異なります。条件に届かない方式があっても、ほかの総合型選抜や外国の卒業資格を用いる入試などに出願できる可能性があります。

Q. 一般選抜を併願する場合、何を準備すればいいですか?

併願する方式の科目と日程を確認し、英語以外の国語・数学・社会・理科などが必要かを調べます。共通テストを利用する方式もあるため、試験科目と受験会場への移動を含めて計画してください。専願や入学確約の条件にも注意が必要です。

まとめ|英語だけで受験できるかは、大学名より入試方式で判断する

帰国子女が英語を軸に受験できる入試はあります。ただし、日本語の必要性、英語資格の役割、海外就学歴の条件は、学部・入試方式・入学時期によって異なります。

  • 出願条件・選考言語・入学後の授業を分けて確認する
  • 英語資格の最低基準と、本人の学習目標を区別する
  • 海外に住んだ期間だけでなく、学校の種類と就学期間を確認する
  • 資格の受験と、成績証明書・志望理由書・面接などの準備を並行する
  • 判断が難しい出願資格は、大学の入試担当窓口に確認する

「英語が得意だから受けられるはず」と考える前に、本人の学習歴で使える方式を確かめましょう。受験できる方式と必要な準備が分かれば、海外にいる間の学習計画も立てやすくなります。

※面談事例は、筆者が担当した相談内容から、学習方針を整理した過程を紹介したものです。個人の特定につながる情報は省略しています。合格実績や指導効果を示す事例ではありません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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