補習校をやめるべきか続けるべきか|3つの軸で判断する方法

「補習校、そろそろ限界かもしれない」

現地校の勉強に追われ、週末は補習校、平日も宿題。親子で言い合いになる日が増え、「このまま続けてよいのだろうか」と悩んでいませんか。

補習校は、「やめる」か「今のまま続ける」かの二択で考える必要はありません。学校に相談して負担を調整する、休学を検討する、別の学習方法に切り替えるといった選択肢もあります。

まず大切なのは、本人と家庭にどのくらい負担がかかっているかを確認することです。そのうえで、帰国予定・受験や進学の希望・今の日本語力と学習状況を整理すると、続け方を考えやすくなります。

この記事では、元教育プランナーとして担当したご家庭での相談経験をもとに、補習校を続けるか見直すかの判断基準と、やめる場合に準備したいことを解説します。

目次

補習校をやめるべきか続けるべきかは、負担と「3つの軸」で考える

「しんどい」という気持ちも、大切な判断材料です。睡眠や休息が足りない、現地校の課題に取り組めない、親子での学習がつらくなっている場合は、今の受講方法を見直しましょう。

そのうえで、次の3つの軸から、これから必要な学習を整理してください。

確認すること判断にどう使うか
帰国予定帰国の見込み時期と、帰国後に通う学校日本の教科学習を、いつまでにどこまで準備するか考える
受験・進学の希望日本で受験するか、現地で進学するか、まだ未定か補習校で学ぶ内容と、進路に必要な対策が合っているか確認する
今の日本語力と学習状況読み書き、授業の理解、算数・数学の定着、宿題への取り組み今の授業で力がついているか、内容や進度の調整が必要か考える

例えば、帰国が近くても、授業が難しすぎて理解できていないなら、通い続けるだけでは不足を補えないことがあります。反対に、帰国予定がなくても、本人が日本語で学ぶことや友達との時間を楽しんでいるなら、続ける意味があります。

3つの軸は、継続か退学かを自動的に決めるものではありません。本人の希望と家庭の負担も合わせて、「何を残し、何を変えるか」を考えるために使いましょう。

補習校で得られるもの・対応範囲を確認したいものを分ける

補習校で得られるもの・対応範囲を確認したいものを分ける

補習校を続けるか考えるときは、今の学校で何を学び、どのような支えを得ているかを整理してください。

補習授業校は、主に現地校やインターナショナルスクールなどに通う子どもが、土曜日や放課後などに日本の教科書を使い、国語・算数など一部の教科を学ぶ場です。授業時間や対象学年、指導内容は学校によって異なります。

参考:外務省「海外教育」

得られるもの①|日本の教科書に沿って学ぶ機会

日本の教科書を使って学ぶことは、帰国後の授業に備えるうえで役立ちます。使った教材や学習記録があれば、どの単元を学んできたかも確認しやすくなります。

担当したご家庭でも、補習校で数学を学んでいたことが、日本の学校への編入準備を進める際の手がかりになった例がありました。

ただし、授業で習った範囲と、自力で解ける範囲は同じではありません。帰国や受験が近づいたら、教科書の例題や答案を使い、定着している部分と復習が必要な部分を確認しましょう。

得られるもの②|日本語で学ぶ仲間と環境

友達と日本語で話したり、授業で考えを伝えたりする時間も、補習校で得られるもののひとつです。

家庭とは違う話題や相手に触れることで、日本語を使う場面が広がります。本人にとって、補習校が大切な居場所になっている場合もあります。

退学を考える前に、「勉強以外で、補習校に残したいものはある?」と本人に聞いてみてください。友人関係や行事への参加も、判断に含めたい点です。

確認したいもの①|志望校に合った受験対策

補習校に通っていることと、志望校の入試に必要な準備ができていることは分けて確認しましょう。

学校の授業内容を中心に進める場合もあれば、受験に関する相談や対策を扱う場合もあります。国語の記述、作文、面接、算数・数学の応用問題など、希望する対策にどこまで対応しているかを聞いてください。

担当した生徒にも、補習校で習った漢字が十分に定着しておらず、受験準備の中で復習が必要になった例がありました。ただし、これは個々の学習状況の話であり、補習校全体の指導を評価するものではありません。

まず学校の先生に答案を見てもらい、普段の復習で補える部分と、追加の対策が必要な部分を分けましょう。

確認したいもの②|個別の復習と、学習状況の把握

授業についていけない単元がある場合は、補習校でどのような復習や相談ができるか確認してください。集団授業だから個別に対応できない、と一律には言えません。

面談では、「習っている内容が身についているか分からない」という相談もありました。その場合は、宿題の出来具合だけでなく、授業中の様子やテスト、先生からの助言を合わせて確認すると整理しやすくなります。

家庭でどのくらい手伝っているかも伝えましょう。保護者と一緒ならできる問題と、一人でも解ける問題を分けると、必要な支援が見えてきます。

補習校をやめる・休むことを検討したいケースと、継続が合いやすいケース

補習校をやめる・休むことを検討したいケースと、継続が合いやすいケース

次の項目は判断の目安です。ひとつ当てはまれば結論が決まるわけではなく、負担の程度と、学校で調整できることを合わせて考えてください。

やめる・休む・受講方法の変更を検討したいケース

  • 睡眠や休息、現地校の生活に支障が出ている:通学や宿題を含めた総負担を見直す
  • 授業の難しさや進度が合っていない:課題やクラスの調整ができるか相談する
  • 本人が強い負担や不安を感じている:勉強、友人関係、通学など、困っている理由を確認する
  • 進路や学習目的が変わった:今の授業内容が、これから必要な学習に合っているか見直す
  • 送迎・費用・家庭での付き添いが続けにくい:保護者の負担も含め、無理のない方法を考える

担当したご家庭でも、進度が合わず、負担に対して学習の手応えを感じにくいという相談がありました。何が難しく、どこはすでにできるのかを整理すると、続け方を相談しやすくなります。

負担が強い場合は、代わりの教材や指導先が決まっていなくても、まず休むことを検討してかまいません。休学などの手続きは学校に確認してください。

継続が合いやすいケース

  • 授業が本人の理解度に合い、学習が進んでいる:無理なく復習できているかも確認する
  • 帰国後に必要な教科学習に役立っている:進学先で必要になる内容と照らし合わせる
  • 定期的に学ぶ予定が、家庭の支えになっている:宿題や先生の助言を活用できている
  • 本人が友達や授業を楽しみにしている:日本語を使う場や居場所としての価値がある
  • 本人と家庭の負担を調整しながら通えている:現地校や休息との両立ができている

帰国予定があることだけで継続を決めず、実際に学べているか、本人が無理なく通えているかを確認しましょう。

「やめる・今のまま続ける」以外に、3つの選択肢がある

「やめる・今のまま続ける」以外に、3つの選択肢がある

「全部やめるほどではないけれど、このままはつらい」という場合は、受け方を変える方法があります。利用できる制度や対応は、補習校に確認してください。

選択肢①|科目・宿題の負担を調整し、必要なら休学を相談する

まず、何にいちばん時間や負担がかかっているかを学校に伝えましょう。通学なのか、漢字練習なのか、理解できない問題への付き添いなのかで、相談する内容が変わります。

科目を選んで受講できるか、宿題の優先順位を相談できるか、休学の制度があるかを確認してください。科目や登校頻度を自由に減らせるとは限らないため、学校のルールに沿って相談することが大切です。

調整する場合は、いつ振り返るかも決めておくと、負担や学習状況が改善したかを確認しやすくなります。

選択肢②|補習校を続けながら、必要な部分だけ別の方法で補う

補習校の授業や友人関係が本人に合っていて、受験対策など一部だけ不足する場合は、併用も選択肢になります。

例えば、補習校の学習を続けながら、記述答案の添削や苦手単元の復習だけを別の指導で補う方法です。

ただし、先に、現地校・補習校・追加する学習を合わせた時間を確認してください。宿題や教材が重なる場合は、何を減らせるかも相談しましょう。

すでに負担が大きい場合は、追加よりも、現在の学習の一部を置き換える方法が合うこともあります。

選択肢③|別の学習方法を試してから、やめる

負担に余裕があれば、退学前に通信教育や家庭学習、オンライン指導などを短期間試し、続けられそうか確認する方法があります。

確認したいのは、教材が合うかだけではありません。本人が取り組めるか、保護者の付き添いはどのくらい必要か、質問や添削をどうするかも見てください。

補習校をやめることと、日本語の学習をやめることは同じではありません。今の家庭に合う形へ変えることができます。休息が必要な場合は、先に休んでから次の方法を考えましょう。

学年別|補習校をいつまで続けるか考えるときの確認点

学年が上がると、現地校の課題や進路準備との両立が難しくなる場合があります。ただし、何年生まで続けるべきかは一律に決められません。

学年確認したいこと
小学生日本語の読み書きや算数を、理解度に合った内容で学べているか。遊びや休息の時間も確保できているか
中学生帰国・受験・現地での進学の希望と、授業内容が合っているか。現地校の課題と両立できているか
高校生進学先で必要な教科や出願準備に時間を使えているか。日本語を学ぶ目的と、利用できる課程が合っているか

担当したご家庭には、進学を機に補習校の通い方を見直した例もありました。学年が変わるときは、授業や生活の予定を整理し直す機会になります。

日本で受験する場合は、募集要項や必要科目を確認し、補習校で続ける学習と、別に準備する内容を分けましょう。現地での進学を考えている場合も、日本語をどのように使い続けたいかを本人と話してみてください。

補習校をやめた後に変わること|学習の予定と、確認してくれる相手

補習校をやめると、登校日や宿題の提出日、先生に質問する機会が変わります。学習量が必ず落ちるわけではありませんが、これまで学校が担っていた役割を整理しておくと安心です。

例えば、次のような点です。

  • 次に学ぶ内容を誰が決めるか
  • 分からない問題を誰に聞くか
  • 作文や記述を誰が確認するか
  • 学習が進んでいるか、いつ振り返るか
  • 日本語で友達と話す機会をどう持つか

家庭学習に切り替える場合も、保護者がすべて教える必要はありません。本人が進める部分、保護者が確認する部分、教材や外部の指導を使う部分を分けて考えましょう。

親子での学習がすでに負担になっているなら、退学後に保護者の役割が増えすぎないかも確認してください。

やめる前後に決めておきたい3つのこと

やめる前後に決めておきたい3つのこと

学習を続ける準備ができたら、次の3つを整理しましょう。一度に細かく決めすぎず、無理なくできる内容から始めてください。

①学ぶ予定と、質問・確認の方法を決める

いつ、何に取り組み、困ったときにどうするかを決めておくと、家庭学習を始めやすくなります。

自分で答え合わせをする、保護者と一緒に確認する、通信教育の添削を利用する、先生に質問するなど、方法はひとつではありません。

特に作文や記述で直し方に迷う場合は、内容について助言をもらえる相手やサービスを検討してください。

②学習の進み具合を確かめる方法を決める

進んだページ数だけでなく、何を一人でできるようになったかを確認しましょう。

  • 漢字を読めるか、意味が分かるか、書けるかを分けて確かめる
  • 短い文章を読み、内容を自分の言葉で説明してもらう
  • 以前間違えた算数・数学の問題を、別の日に解き直す
  • 受験する場合は、利用できる模試や過去問で必要な対策を確認する

漢字検定などを目標にする方法もありますが、級や点数だけで日本語力全体を判断する必要はありません。本人ができるようになったことを、一緒に振り返りましょう。

③国語と算数・数学で、何を続けるか決める

日本の学校への進学を考えている場合は、国語だけでなく、算数・数学も確認してください。

現地校と日本の学校では、単元を学ぶ順序や使う用語が異なる場合があります。教科書の目次や答案を見比べ、学んでいない内容と、すでに理解している内容を整理しましょう。

一方、日本語で日常会話ができることと、文章を読み、答えを書く力があることも同じではありません。国語の読み書きも、本人の状況に合わせて続ける内容を決めてください。

参考:群馬県「日本語指導を始める前に」。日常会話の力と、学習に必要な言葉の力の違いについて説明されています。

補習校の代わりに、何を使うか

補習校の代わりに、何を使うか

学習面の主な選択肢をまとめました。教材の内容だけでなく、保護者の付き添い、質問への対応、費用を合わせて比較してください。

方法向いている場合確認したい点
通信教育・オンライン教材教材に沿って進めたい。自宅で学ぶ時間を調整したい海外での利用・配送、添削や質問対応、保護者の付き添い、費用
市販教材などを使う家庭学習学ぶ範囲を絞り、本人のペースで進めたい教材選び、答え合わせ、記述の確認を誰が担うか
オンライン個別指導苦手な部分を確認し、教材や進度を調整して教わりたい担当講師の経験、添削方法、時差に合う時間、授業外の学習、費用
地域の日本語教室・交流活動日本語を使う機会や、友達とのつながりを持ちたい対象年齢、読み書きや教科学習への対応、開催場所・頻度

受験を控えている場合や、何から復習すればよいか分からない場合は、個別に学習内容を調整できる指導が選択肢になります。

相談するときは、次の点を確認しましょう。

  • これまでの学習歴と答案を見てくれるか:学年だけで教材を決めず、できることと苦手なことを整理してもらう
  • 必要な部分に戻って教えてもらえるか:前の学年の復習と、現在必要な学習を調整できるか確認する
  • 授業以外の進め方も相談できるか:宿題の量、質問方法、保護者が手伝う範囲を確認する

海外からオンラインで受講する場合は、時差に合う時間と教材の共有方法を確認してください。帰国後も続けたい場合は、時間帯や担当講師を継続できるかも相談しましょう。

日本語の読み書きで困っている場合は、漢字・語彙・記述など、どこにつまずいているかを整理することも大切です。

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補習校の継続についてよくある質問

やめたら日本語を忘れてしまいませんか?

補習校をやめたことだけで、日本語力がどう変わるかは決まりません。家庭や友達との会話、読書、書く機会などによって異なります。

会話を続けていても、漢字や文章を書く力には別の練習が必要な場合があります。本人が日本語をどの場面で使いたいかを考え、無理なく続けられる活動を選びましょう。

本人が行きたがりません。どうすればよいですか?

まず、何がつらいのかを聞いてください。宿題の量、授業の難しさ、友人関係、通学時間などによって、必要な対応が変わります。

「行きたくない理由を説明できるまで通う」とせず、負担が強い場合は休むことも考えましょう。落ち着いて話せるときに本人の希望を聞き、学校にも状況を伝えてください。

やめた後、また戻れますか?

再入学や復学の条件は補習校によって異なります。退学前に、休学制度の有無、受け入れ時期、定員、学習状況の確認方法、必要な手続きを聞いておきましょう。

戻る可能性がある場合は、使用教材や学習記録を残しておくと相談に役立ちます。退学と休学の違いも確認してください。

スポーツや習い事と重なります

本人が大切にしたい活動と、日本語学習の目標を一緒に整理しましょう。補習校を常に優先すべきとは限りません。

欠席時の扱いや課題について学校に確認し、両立が難しければ、受講方法の変更や別の時間に学べる方法を検討してください。

帰国予定がなくても続ける意味はありますか?

あります。日本語で学ぶこと、友達と交流すること、家族や日本の文化とのつながりを持つことなど、受験以外の目的もあります。

本人が楽しみながら学べているなら、帰国予定がないことだけを理由にやめる必要はありません。負担が大きい場合は、残したい活動を確かめて、続け方を調整しましょう。

まとめ|補習校は、本人の負担と学習の目的に合わせて続け方を選ぶ

  • 本人と家庭の負担も、大切な判断材料。睡眠・休息・現地校の生活を確認する
  • 帰国予定・進路・今の学習状況を整理し、これから必要な学習を考える
  • 補習校で得ている教科学習・友人関係・日本語を使う機会を振り返る
  • 受験対策や個別の復習は、通っている学校の対応範囲を確認する
  • 負担の調整・休学・併用・別の方法への変更も選択肢になる
  • やめる場合は、必要に応じて学ぶ予定・質問や添削の方法・振り返る時期を決める

補習校をやめること自体は、失敗でも後退でもありません。今の本人と家庭に合う学び方を選び直すことができます。

まずは、「何がいちばんつらいか」「補習校で残したいものは何か」を親子で整理し、学校に調整できることを相談してみてください。休息が必要な場合は、次の学習方法を決める前に休んでもかまいません。

一度で結論を固定せず、進路や生活が変わったときに見直すこともできます。本人の気持ちを聞きながら、無理なく続けられる形を考えていきましょう。

※補習校の制度・指導内容・受講方法は、地域や運営団体によって異なります。休学・退学・再入学などの条件は、各補習校に確認してください。本文の担当事例は、個人が特定されないよう詳細を省略しています。継続や退学の判断基準は、筆者の相談経験をもとに整理した目安であり、すべてのご家庭に同じ判断を勧めるものではありません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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