「帰国生入試で英検は何級あればいいのか」
調べると「3級が目安」「2級以上を目指したい」といった情報が出てきます。ただ、その級が自分の子どもの受験に必要なのかは、判断しにくいものです。
先に結論をお伝えします。帰国生入試に共通する英検の最低級はありません。必要な級やスコアは、志望校・入試方式・受験年度によって異なります。
英検が出願条件になる場合もあれば、得点換算や加点に使われる場合もあります。英検を利用しない方式もあるため、学年だけで目標級を決めないことが大切です。
そして海外在住のご家庭では、「いつ・どこで受験でき、いつまでに成績を提出できるか」も確認が必要です。必要な級がわかっても、出願に間に合わなければ、その入試には使えません。
この記事では、元教育プランナーとして担当したご家庭の相談経験をもとに、英検の目標の決め方、学年別の確認事項、海外からの受験計画を解説します。
帰国生入試の英検は「何級」より「どう使われるか」で決まる

目標級を決める前に、志望校の募集要項で英検の使われ方を確認してください。
同じ級を持っていても、出願できるようになるのか、点数に換算されるのかによって、次に取り組む対策が変わります。
代表的な使われ方は、次の4つです。
| 使われ方 | 内容 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 試験免除 | 条件を満たすと、指定された英語試験などが免除される | 免除される範囲と、英語面接など残る選考の有無 |
| 得点換算・みなし得点 | 級やスコアを、入試の得点として扱う | 換算表、上限、当日の試験との比較方法 |
| 加点 | 級やスコアに応じて、一定の点数を加える | 対象となる級・スコアと、加点される点数 |
| 出願資格 | 指定された級やスコアが、出願するための条件になる | 条件を満たした後も、選考で評価されるか |
これらが組み合わされる場合や、書類審査の資料として使われる場合もあります。
「出願資格だから、基準を超えても評価されない」とは限りません。上位級や高いスコアが別途評価されるかは、募集要項の選考方法まで確認してください。
基準を満たすことだけが求められ、追加の評価がないと確認できた場合は、上位級の取得と、国語・算数・数学・小論文などの対策のどちらを優先するか検討しましょう。
「級指定」か「スコア指定」かで、目標の立て方が変わる
募集要項には、「準1級以上に合格」と書かれている場合もあれば、「英検CSEスコアが指定点以上」と書かれている場合もあります。両方の条件を求める場合もあります。
スコア指定でも、どの級を受けた成績でも使えるとは限りません。次の条件を合わせて確認してください。
- 受験した級の指定があるか
- その級への合格が必要か、不合格の成績も認められるか
- 4技能の合計か、技能別の最低点も必要か
- 同じ受験回の成績が必要か
受験級や合否の条件がなく、下位級で取得したスコアも認められる場合は、その級で目標スコアを目指す方法もあります。
ただし、受験する級によってCSEスコアの満点は異なります。例えば、2級の4技能合計の満点は2,600点です。必要なスコアがそれを超える場合、2級の受験では届きません。
また、CSEスコアの条件を満たしても、上位級に合格したことにはなりません。「準1級合格」が条件なら、その級への合格が必要です。
出典:日本英語検定協会「英検成績を入試で利用される際の確認事項」
取得時期と、提出する証明書まで確認する
級やスコアと一緒に、どの期間に受験・取得した成績が認められるかも確認しましょう。
早い時期に合格していても、志望校が指定する対象期間から外れていれば、その入試では使えない場合があります。対象期間を数える基準が受験日なのか、合格日なのかも確認が必要です。
さらに、提出する書類の種類、紙かデジタルか、提出期限まで確認してください。証明書を再発行しても、過去の受験日や取得時期が新しくなるわけではありません。
帰国生入試の英検|小学生・中学生・高校生の目標の決め方

中学受験は3級、高校受験は2級、大学受験は準1級という共通の基準はありません。学校段階ごとに、次の点を確認しましょう。
| 受験段階 | 最初に確認すること | 目標の考え方 |
|---|---|---|
| 小学生 中学受験 | 帰国生入試と英語資格利用入試の条件、国語・算数などの試験内容 | 英検で得られる扱いと、他教科の対策時間を比較する |
| 中学生 高校受験 | 学校・コース・選抜区分ごとの資格条件と、評定・学力試験の扱い | 出願に必要な条件を満たし、追加の優遇を目指す必要があるか考える |
| 高校生 大学受験 | 英検を利用できるか、他の英語資格が指定されていないか | 学部・方式ごとの級、スコア、対象期間、提出期限から決める |
級の難しさを知る参考として、英検協会は3級を「中学卒業程度」、準2級を「高校中級程度」、準2級プラスを「高校上級程度」、2級を「高校卒業程度」、準1級を「大学中級程度」、1級を「大学上級程度」と案内しています。
これは試験の難易度の目安であり、その学年の受験生に必要な級を示すものではありません。
小学生(中学受験)|英検の扱いと、国語・算数の準備を合わせて考える
小学生の場合は、まず候補校の募集要項で、英検を利用できる方式と、その条件を整理しましょう。
その際、帰国生として出願する入試と、海外経験を問わず受けられる英語資格利用入試を混同しないことが大切です。同じ学校でも、方式ごとに条件が異なる場合があります。
すでに持っている級で条件を満たすなら、上位級を目指すことで扱いが変わるかを確認してください。扱いが変わらない場合は、国語や算数、面接などに時間を回す選択肢もあります。
英検と、在外期間・帰国時期の条件を一緒に確認する
英検の条件を満たしていても、帰国生としての出願資格を満たしているとは限りません。
帰国生入試では、在外期間、在籍した学校の種類、帰国後の経過期間などが条件になる場合があります。期間の数え方や基準日も学校によって異なります。
担当したご家庭でも、帰国時期の条件によって候補にできる学校が変わることがありました。英検の級だけで絞らず、出願資格を項目ごとに照合する必要があります。
出願資格の確認と準備の進め方は、次の記事でも整理しています。
▶ 帰国子女の中学受験はいつから準備する?帰国時期別の進め方と条件
中学生(高校受験)|学校・コースごとの基準と、他の選考内容を確認する
高校受験でも、必要な級を一律に決めることはできません。志望する学校・コース・選抜区分の条件を確認してください。
英検を利用できる場合でも、評定や学力試験、作文・面接などの準備が必要になることがあります。資格取得だけで受験対策が完了するとは考えないようにしましょう。
英語が得意でも、要約や意見を書く練習が必要なことがある
海外で英語を使っていても、英検の課題に慣れていないことがあります。
担当した生徒にも、読む問題は得意でも、要約で必要な情報を選び、指定された長さにまとめることに苦労した例がありました。
この場合は、単に形式を覚えるだけでなく、要点を選ぶ、言い換える、論理的にまとめる練習が必要です。英文を理解する力と、条件に合わせて書く力を分けて確認しましょう。
受験する級によって課題は異なります。過去問や公式の試験内容を確認し、時間を計って実際に書いた答案を見てもらうと、必要な対策がわかります。
高校生(大学受験)|準1級を目指す前に、利用できる資格を確認する
大学の帰国生入試でも、準1級が共通のスタートラインというわけではありません。
最初に確認したいのは、志望する大学・学部・方式で英検を利用できるかです。別の英語資格が指定されている場合は、英検の上位級を取得しても代わりにはなりません。
英検を利用できる場合は、級・CSEスコア・技能別条件・成績の対象期間を確認します。英語資格の提出が必要かどうかも、方式ごとに調べてください。
帰国生入試と総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜を併願する場合は、同じ成績をそれぞれの方式で使えるかも整理しておくと、受験計画を立てやすくなります。
成績の提出期限から、目標の受験月を決める
目標級が決まったら、「いつか合格する」ではなく、受験する時期を具体化しましょう。
ただし、最初に見るのは受験日ではなく、志望校へ成績を提出する期限です。結果発表と証明書の準備が間に合う回を確認し、可能であれば再挑戦できる余裕も持たせます。
実際の面談でも、受験する月と申し込み時期を決めることで、過去問や作文に取り組む予定を具体化できた例がありました。
条件を満たした後は、他の科目や出願書類へ時間を移すのか、さらに高いスコアを目指すのかを決めておくと、次の準備へ進みやすくなります。
帰国前から準備する|英語の学習環境と、成績を使える期間を考える
帰国前から英検の受験計画を考えておくことには意味があります。ただし、早く合格すれば必ず入試で使えるわけではありません。
帰国後は、学校生活や他教科の学習が忙しくなり、英語に触れる時間が減ることがあります。これまで英語で読んだり書いたりしていた時間を、どう確保するか考えておきましょう。
担当したご家庭にも、帰国後に英語を学ぶ機会が減り、保護者が語彙の不足を気にしていた例がありました。ただし、帰国後の変化には個人差があり、1回の試験結果だけで英語力の低下を判断することはできません。
在外中に受験する場合も、その成績が出願時に有効か、帰国後に再受験する必要があるかを確認してください。
大切なのは、「帰国前に必ず取る」と急ぐことではなく、帰国前後の生活と提出期限を踏まえて、受験と学習を続けられる計画にすることです。
帰国後の英語学習については、次の記事で詳しく整理しています。
▶ 帰国子女の英語維持|小学生・中学生・高校生別に何をすべきか解説
海外では会場・方式によって受けられる級が違う|受験計画を先に確認する

海外からの受験では、居住地の近くに会場があるか、その会場で希望する級を受けられるかを確認しましょう。
海外の本会場・準会場に加え、英検S-CBTの海外会場もあります。「近くの準会場では受けられない」という理由だけで、日本でしか受験できないとは限りません。
確認時点の海外S-CBT公式案内では、実施級は準1級・2級・準2級・3級です。1級と準2級プラスの実施はありません。会場ごとの日程も確認してください。
国内の案内と海外会場の条件が同じとは限らないため、申し込む会場・方式の公式ページを確認することが大切です。
一時帰国に受験を組み込む場合は、試験と結果発表の両方を見る
現地で希望する級や日程の受験が難しい場合は、一時帰国中に日本で受ける方法もあります。
英検の従来型では、面接のある級は一次試験と二次試験が別日です。滞在期間内に受けられるか、一次・二次の受験地について条件があるかも確認してください。
英検S-CBTは、1日で4技能を測る方式です。一時帰国の日程に組み込む候補になりますが、試験が1日で終わることと、結果がすぐに出ることは別です。
次の点を確認してから申し込みましょう。
- 申込期間と空席:帰国予定に合う日程・会場を選べるか
- 試験日と滞在日程:移動や時差への対応も含め、無理なく受けられるか
- 結果発表日と証明書:志望校が認める方法で、提出期限までに準備できるか
- 本人確認書類と受験票:当日必要なものを用意できるか
- 受験方法:画面操作や録音式の解答などを事前に試せるか
特に4技能の成績が必要な場合は、一次試験の結果だけで出願できると思い込まないようにしてください。
参考:英検S-CBTについて、英検S-CBTの試験日程・受験案内
他の英語資格に切り替える場合は、志望校が認める試験か確認する
英検の日程が合わない場合は、志望校が認める別の英語資格を検討する方法もあります。
ただし、資格名だけでなく、試験の種類や受験方式まで確認してください。同じ系列の試験でも、別の種類や自宅受験の成績は対象外という場合があります。
募集要項で指定されたスコア、成績の対象期間、結果の送付方法も確認します。異なる試験の点数を、自己判断で英検の級やスコアに置き換えることはできません。
切り替えを検討する際は、受験しやすさだけでなく、新しい形式の対策に必要な時間と、結果提出までの日数も比べましょう。
会話ができても得点につながらないときは、語彙とライティングも確認する

英会話が得意でも、英検のすべての課題に対応できるとは限りません。
社会的な話題の文章を理解する、必要な情報を要約する、理由を添えて意見を書くなど、日常会話とは異なる力も求められます。
私が担当した生徒には、聞き取りや文章の大意の理解は得意でも、知らない語彙や、要約・意見を書く課題で点を落としていた例がありました。
ただし、帰国子女の弱点が語彙とライティングに決まっているわけではありません。次のように、技能別の成績と、実際に間違えた問題を合わせて確認してください。
- リーディング:語彙、文章の理解、時間不足のどこに課題があるか
- リスニング:聞き取れないのか、内容を整理できないのか
- ライティング:課題への答え方、構成、語彙、文法のどこを直す必要があるか
- スピーキング:質問に答え、理由や説明を必要な長さで伝えられるか
語彙が課題なら、単語・熟語を例文とともに復習する。要約が課題なら、必要な情報を選び、短く言い換える練習をする。弱点に合わせて、取り組む内容を変えましょう。
なお、問題の正答率とCSEスコアは同じものではありません。自己採点の割合だけで合否を予測せず、公式の成績と答案を使って学習の優先順位を決めてください。
苦手な部分に時間を多く使いつつ、得意な技能も維持することが大切です。
参考:日本英語検定協会「英検CSEスコアでの合否判定方法について」
▶ 帰国子女なのに英語ができない?2つのパターンと、それぞれの対処法
目標の級を取った後は、残る入試対策と入学後の学習を考える
目標の級やスコアを取得したら、次に何が必要かを募集要項と過去問で確認しましょう。
英語試験が免除される場合は、免除の対象と、残る試験・面接・提出書類を整理します。独自の英語試験を受ける場合は、英検対策だけで対応できるか、問題形式を確かめてください。
英語のエッセイや面接などは、英検と課題の出し方が異なることがあります。「準1級に合格したから、志望校の英語対策は不要」とは判断しないようにしましょう。
一方、資格の条件を満たした後も、全員が上位級を目指し続ける必要はありません。残る選考で必要な準備に時間を移すことも大切です。
入試に向けた対策と、入学後に英語で読む・書くための学習は分けて考え、本人の進路に合わせて次の目標を決めましょう。
海外から英検対策をするなら、指導先をどう選ぶか

英検対策を依頼する場合は、英語を教えられることに加え、受験する級の課題や評価の観点を理解しているかを確認してください。
- 成績と答案から課題を整理できるか:語彙、要約、意見の組み立てなどを具体的に見てもらう
- ライティングの直し方まで教えてくれるか:修正例だけでなく、理由と書き直す機会があるか確認する
- 試験日までの学習計画を相談できるか:授業と自宅学習で取り組む内容を決める
- 希望する時差・時間帯で受講できるか:帰国後も続けたい場合は、変更後の条件も聞く
担当したご家庭には、現地で指導を受けていたものの、英検の課題に詳しい先生へ相談先を変えた例もありました。現地の先生か日本の先生かではなく、必要な対策に対応できるかで選ぶことが大切です。
オンライン個別指導も選択肢になります。申し込み前に、教材や答案の共有方法、添削の進め方、希望する級への対応経験を確認しましょう。
また、学習計画を先生と相談する場合も、出願資格や試験会場の条件は公式案内で確認してください。最終的な出願可否は、志望校への確認が必要です。
英検対策に加えて、学校の補習や帰国後の受験まで相談できる指導先を探したい場合は、帰国子女向けのオンライン家庭教師も比較してみてください。
帰国生入試と英検についてよくある質問
英検を持っていないと帰国生入試は受けられませんか?
英検の提出を求めない学校・方式もあるため、一律に受けられないわけではありません。ただし、別の英語資格や学力試験などの条件がある場合もあります。志望校の出願資格と選考方法を確認してください。
現地校に通っていれば、英検の条件は緩和されますか?
現地校に通っていることだけで、自動的に免除・緩和されるとは考えないようにしましょう。学校が在籍期間や授業で使う言語などによる例外を設けている場合は、その条件と必要書類を確認してください。
英検の有効期限はありますか?
英検の合格資格自体に有効期限はありません。ただし、入試で利用できる成績の対象期間は、提出先が定める場合があります。「いつ受けた成績が使えるか」と「いつまでに証明書を提出するか」を別々に確認してください。
準1級に届きません。2級のスコアで出願できますか?
志望校が2級で取得したCSEスコアを認め、必要な点数やその他の条件を満たしていれば、使える場合があります。ただし、「準1級合格」や「準1級以上の受験」が条件なら、2級のスコアでは代わりになりません。
準1級への合格が必要な場合は、成績表と答案から課題を確認し、残る受験機会に合わせて対策を考えましょう。
出願までに何回受けられるか、どう数えればいいですか?
志望校への成績提出期限から逆算し、結果発表と必要な証明書の準備が間に合う回を確認します。そのうえで、会場、実施級、申込締切、空席、移動の予定を照合してください。
従来型で面接のある級を受ける場合は二次試験の日程も必要です。S-CBTも結果発表まで期間があるため、受験日だけで判断しないようにしましょう。
まとめ
- 帰国生入試に共通する英検の最低級はなく、学校・方式・年度ごとに確認する
- 試験免除・得点換算・加点・出願資格など、使われ方によって優先する対策が変わる
- 級・CSEスコア・受験級・合否・技能数の条件を合わせて確認する
- 早期取得を目指す場合も、成績を使える対象期間を確認する
- 海外本会場・準会場・海外S-CBT・一時帰国中の受験を、日程と実施級で比較する
- 受験日だけでなく、結果発表と証明書の提出まで逆算する
- 目標達成後は、残る入試対策と入学後の学習に合わせて次の目標を決める
「何級を取るか」を考えるときは、まず志望校での使われ方と提出条件を調べましょう。そのうえで、現在の英語力と受験できる日程を照らし合わせると、取り組む目標を決めやすくなります。
最初の一歩は、志望校の最新の募集要項を開き、英語資格・対象期間・提出期限の3か所を確認することです。
※出願資格、英語資格の扱い、試験の実施状況は学校・年度・会場によって異なります。最新の募集要項と試験の公式案内をご確認ください。本文の事例は筆者の担当経験をもとに、個人が特定されないよう情報を省略・抽象化しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




