「サピックスの授業についていけていないようだ」
「授業で何をやったのか、家で聞いても説明できない」
「このまま続けて大丈夫なのか、転塾したほうがいいのか分からない」と悩んでいませんか。
結論からいうと、サピックスについていけないと感じても、すぐに「理解力が足りない」「塾が合っていない」と判断する必要はありません。
SAPIXは、授業当日に教材が配られ、予習ではなく授業後の復習を重視する学習システムです。そのため、家庭での復習の回し方が合っていないだけでも、「授業についていけていない」ように見えることがあります。
大切なのは、「ついていけない」をひとまとめにしないことです。授業内容そのものが理解できていないのか、宿題の量で回らなくなっているのか、特定の単元につまずいているのかによって、必要な対策は変わります。
私は家庭教師のトライの教育プランナーとして、600人以上のお子さんの学習相談を担当してきました。立て直せたご家庭では、「ついていけない」で終わらせず、どこで学習が止まっているのかを一つずつ確認していました。
この記事では、SAPIXの授業についていけないと感じやすい理由から、原因の切り分け方、家庭でできる対策、転塾を考える目安まで順番に解説します。
この記事の要点
- SAPIXは予習を前提とせず、授業後の復習で定着させる学習システム
- 同じ重要単元を繰り返し学ぶカリキュラムなので、1回で完璧にする必要はない
- 「ついていけない」を5つに切り分けると、必要な対策が見つけやすい
SAPIXの授業についていけないと感じやすい3つの理由

まず知っておきたいのが、SAPIXの授業と家庭学習の仕組みです。ここを理解すると、「本当に授業についていけていないのか」を判断しやすくなります。
① 教材は授業当日に配られ、予習を前提としていない
SAPIXでは、授業で使用する教材を基本的に授業当日に受け取ります。前もってテキストを読み込んで授業に備えるのではなく、初めて見る内容に授業の中で取り組むスタイルです。
そのため、「予習してから授業を受ければ理解できるはず」という考え方では対策しにくく、授業後の復習をどのように進めるかが重要になります。
② 初めて見る問題をその場で考える授業
SAPIXでは、講師の説明を聞いて解法を覚えるだけではなく、発問を受けながら初めて見る問題について考える授業が行われます。
そのため、お子さんが家で「今日何を習ったの?」と聞かれてうまく説明できなくても、それだけで授業を理解できていないとは判断できません。
理解度を確認するなら、授業内容を口頭で説明させるだけでなく、翌日に授業で扱った問題をもう一度解けるかを見るほうが具体的です。
③ 復習中心で、同じ単元を繰り返し学ぶ
SAPIXのカリキュラムは、一度学んだ重要単元を繰り返し扱いながら、少しずつ難度を上げていく形になっています。
算数でも、新しい内容を扱ったあとに復習する機会があり、その後の総合回や上の学年でも関連する内容を再び学びます。
そのため、最初に習った週ですべてを完璧にすることより、基本となる問題を理解し、次に出てきたときに積み上げられる状態にしておくことが大切です。
ただし、「また出てくるから今は分からなくてもよい」という意味ではありません。分からなかった基本問題はその週のうちに見直し、次の学習につながる土台を残しておきましょう。
「ついていけない」を5つに切り分ける
ここからが具体的な作業です。「サピックスが合わない」とひとまとめにせず、どこが詰まっているのかを分けてください。必要な対策がまったく違います。
| 詰まっている場所 | 見分け方 | やること |
|---|---|---|
| ①授業理解 | 翌日に授業で扱った基本問題を、何も見ずに解こうとしても手が止まる | 翌日に、授業で扱った問題を1問解かせる |
| ②教材量 | 時間はかかっているが、内容は分かっている | やる範囲の線を引き直す |
| ③プリント管理 | 必要な教材がすぐ出てこない | 科目別・週別に分ける仕組みを作る |
| ④単元の穴 | 特定の単元だけ毎回落とす | その単元まで戻る |
| ⑤生活時間 | 就寝が遅く、授業中に眠そう | 寝る時間を先に決める |
①なのに量を減らしても解決しませんし、②なのに戻り学習を増やせば負担が増えるだけです。まずはどれなのかを決めてください。
見分ける方法は「翌日に1問」
①か②かを見分けるのは簡単です。授業の翌日に、授業で扱った問題を1問だけ、何も見ずに解かせてみてください。
- 解ける:授業は理解できている。詰まっているのは量か時間の使い方
- 解けない:授業内容が定着していない。量を減らして理解に時間を回す
この確認をすると、「授業理解」の問題なのか、「宿題量や時間」の問題なのかを見分ける手がかりになります。
見落とされやすい「プリント管理」
サピックスは毎回テキストが配布されるため、家庭に紙がたまっていきます。
必要な教材を探すところから始まっていると、勉強を始めるまでに時間がかかり、それだけで机に向かうのが億劫になります。
科目ごとにファイルを分け、今週使うものだけを手前に置く。これは学力とは関係のない部分ですが、実際に取り組み時間を左右します。
今週から変えられる4つのこと

① 授業の翌日に手をつける
予習ができない以上、勝負は授業の直後です。日にちがあくほど、初見だった内容の記憶は薄れます。
まとまった時間が取れなくても構いません。翌日に、授業で扱った問題だけを見直してください。それだけで、週末の負担が変わります。
② 説明できるかで理解度を測る
丸がついているかどうかでは、理解度は分かりません。算数なら「なぜその式になるのか」、国語なら「本文のどこを根拠にしたのか」を言葉で言えるか確認してください。
説明できない問題は、まだ自分のものになっていません。新しい問題を増やす前に、ここを埋めてください。
③ 数分考えて方針が立たなければ、いったん進む
1問に時間を使いすぎると、他の科目に手が回らなくなります。5分程度を一つの目安に、考えても解き方の方針が立たない場合は問題番号に印をつけ、いったん次へ進みましょう。
飛ばすのはあきらめではなく、時間を守る練習です。
④ 保護者は解法を教えすぎない
保護者が教えること自体が問題ではありません。ただし、サピックスと違う解き方で説明すると、お子さんが混乱することがあります。
担うのは、丸つけ、間違えた単元の記録、教材の整理、教室への相談に絞るほうが、結果的に前に進みます。
宿題の量そのものが回らない場合は、どこまでやるかの線引きをこちらで解説しています。
学年別|ついていけないと感じたときの見方

4年生|授業の翌日に戻る型を作る
4年生は、全部を完璧にする時期ではありません。授業を受ける、翌日に見直す、間違えた問題を解き直すという流れが1周できているかを見てください。
この型ができていれば、学年が上がって量が増えても対応できます。
5年生|最も負荷が変わる学年
5年生は算数の難度が上がり、理科・社会の暗記量も増えます。ここで全部をやろうとすると、睡眠時間から先に削られます。
この学年で必要なのは、時間を増やすことではなく、切り分けの表でどこが詰まっているかを特定することです。特に④の単元の穴を残すと、6年生の演習で表面化します。
6年生|志望校に必要な範囲で判断する
6年生は、通常授業に志望校対策と過去問が重なります。すべてに手が届かないのは当然です。
判断の基準は「志望校で必要かどうか」に変わります。6年生では、基礎となる内容の定着を確認しながら、志望校で頻出する単元や過去問で繰り返し失点している分野の優先度を上げます。
偏差値が伸び悩んでいる場合は、こちらも参考にしてください。
教室の先生への聞き方
家庭で切り分けても改善しない場合は、教室に相談してください。ただし、「ついていけていないようです」だけでは、返ってくる答えも一般的なものになります。
次のように、状況と質問をセットで伝えてください。
- 状況を数字で伝える
例:家庭学習は平日2時間ですが、算数だけで終わってしまいます。 - 切り分けの結果を伝える
例:授業で扱った問題は翌日に解けるので、量の問題だと思っています。 - 授業中の様子を聞く
例:授業中、手が止まっている場面はありますか。 - 到達点を聞く
例:今のクラスでは、どの問題まで解ければ十分ですか。 - 家庭の関わり方を聞く
例:丸つけと解き直しの確認は、どこまで家庭で行うべきですか。
3つ目の質問が特に重要です。家庭では分からない授業中の様子は、先生にしか答えられません。ここで「集中して考えています」と返ってくれば、家庭での見立てが変わります。
クラスが下がって不安な場合は、こちらも参考にしてください。
転塾を判断する基準
ついていけない状態が続くと、転塾が頭をよぎります。判断は、感覚ではなく次の基準で分けてください。
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 翌日に授業の問題は解ける。量と時間が足りていない | 続ける:やる範囲を絞れば回る |
| 特定の単元や科目だけ手が止まる | 補う:その部分だけ外部に任せる |
| 授業内容がほとんど理解できていない状態が数か月続く | 見直す:学習環境そのものを検討する |
| 体調やメンタルに影響が出ている | 見直す:成績より優先して環境を変える |
学習方法を変えたら、数週間から1〜2か月程度は、授業後の理解度や生活リズムに変化があるかを見ます。テストの偏差値だけでなく、翌日に授業問題へ取り組めるようになったか、宿題が以前より回るようになったか、就寝時間を守れているかも確認します。そ
転塾はカリキュラムも教材も変わるため、慣れるまでに時間がかかります。上から順に試してからでも遅くありません。
家庭教師を併用したほうがよいケース

ついていけないからといって、すぐに家庭教師が必要とは限りません。まずは切り分けと、教室への相談です。
そのうえで、次の状態が続く場合は検討するタイミングです。
- 翌日に授業の問題を解かせても、自力では手が動かない
- どの単元まで戻ればよいか判断できない
- 集団授業では質問できないまま帰ってくる
- 保護者が教えると、解法の違いで混乱が起きる
- 睡眠時間を削らないと学習が終わらない
- 6年生で、志望校の過去問対策まで手が回らない
目的は「教材を増やす」ではなく「戻る場所を決める」
併用の目的は、サピックスの代わりに授業をしてもらうことではありません。任せたいのは次の役割です。
- どの単元まで戻るかを特定する
- 授業で扱った問題を、自力で解ける状態まで一緒に確認する
- マンスリーや組分けテストの直しを進める
- 質問できずに残った問題を拾う
併用で失敗しやすいパターン
- 新しい教材が追加され、サピックスの復習が後回しになる
- サピックスと解法が違い、お子さんが混乱する
- 基礎が不安定なのに難問演習が増える
- 睡眠時間や休む時間が減る
無料相談では、サピックス生の指導経験があるか、デイリーサピックスやマンスリーの直しに対応できるかを確認してください。ここが噛み合わないと、教材が増えるだけになります。
役割を3つに分ける
| 担当 | 役割 |
|---|---|
| サピックス | 授業・カリキュラム・テスト・志望校別対策 |
| 家庭教師 | 戻る単元の特定・解き直し・テスト直し・質問対応 |
| 保護者 | 教材の整理・体調管理・教室への相談 |
この分担ができると、保護者が抱える範囲がはっきりします。
サピックスの教材やテストに対応できる家庭教師を比較しています。
FAQ|サピックスについていけないときのよくある質問
授業で何をやったか説明できません。理解できていないのでしょうか?
そうとは限りません。サピックスの授業は初めて見る問題をその場で考える形なので、考えることに集中していて記憶に残っていない場合があります。翌日に授業で扱った問題を1問解かせると、理解できているかが分かります。
予習をさせたほうがよいですか?
平常授業で使う教材は基本的に授業当日に配られるため、SAPIXは予習を前提としていません。授業後の復習に時間を使う学習システムです。授業後の復習に時間を使う設計になっています。前もって準備するなら、計算練習など毎日続けるものを安定させてください。
今の単元が分からないと、この先ずっと苦しいですか?
カリキュラムはらせん状に組まれていて、同じ単元が期間をあけて再び扱われます。同じ重要単元を繰り返し扱うため、一度で十分に理解できなかった内容を再び学ぶ機会があります。ただし、基本問題まで放置せず、その週の復習は残してください。
ついていけないのはうちの子だけですか?
珍しいことではありません。予習ができず、授業では全問を扱わない設計のため、家庭学習の回し方が合っていないと負担が大きく感じられます。理解力の問題とは限りません。
親はどこまで教えるべきですか?
解法を教える必要はありません。サピックスと違う解き方で説明すると混乱することがあります。丸つけ、間違えた単元の記録、教材の整理、教室への相談に絞るほうが前に進みます。
転塾はいつ判断すればよいですか?
やり方を変えてから1〜2か月は続けてください。その間に、翌日に授業の問題が解けるようになったか、就寝時間が守れているかを見ます。授業内容がほとんど理解できない状態が数か月続く場合や、体調に影響が出ている場合は、環境の見直しを検討しましょう。
これからサピックスを検討していて、入室テストが不安な方はこちらもご覧ください。
まとめ|「ついていけない」を分けると、次の一手が決まる
サピックスについていけないと感じたときは、次の順で確認してください。
- 翌日に、授業で扱った問題を1問だけ解かせる
- 授業理解・教材量・プリント管理・単元の穴・生活時間のどれかを特定する
- 特定した1つだけを、1〜2か月かけて改善する
- 授業中の様子を、教室の先生に確認する
サピックスは予習ができない設計で、授業では全問を扱いません。ついていけないと感じるのは、この仕組みを前提に家庭学習が組めていないためであることが多く、理解力の問題とは限りません。
そして、同じ単元は期間をあけて再び出てきます。今週分からなかったことが、そのまま結果になるわけではありません。
家庭だけで戻る単元の特定や解き直しの管理が難しい場合は、サピックスを続けながら、詰まっている部分だけ外部に任せる方法もあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




